第二十三話 作戦
「えーー!」
「妖精の国へ搬送中、一人の兵士がスキを見て妖精銀を奪い逃走。現在行方不明です」
「金はどうなるんだよ!!」
「……もしみつからなくても本来の額よりは少なくなりますが、お支払する予定です」
「ふざけんな!」
「本来の金額をよこせやー!」
魔戦機乗りはお金にうるさい。それだけ苦労してきているというのもあるけど。国軍の人達に向かって罵声が飛び交った。
「本当に申し訳ありません!」
「コイツは前代未聞だなぁ」
「大金に目がくらんだ?」
「んー、今の妖精銀は呪いがかかっているんだ。その状態じゃ足がつく。呪いを解く必要があるからね。もしかしたら裏にデカイのがいる可能性も」
「妖精さんとの付き合いは個人だとトラブルになるってことで国がおこなうことになっているからな。最低でも国に顔が利くやつが裏にいるかも」
「うわー、関わりたくねえ話だな」
「ハー、せっかく大金が入るかと思ってたのに」
「ま、しゃーない。多少保証してくれるようだしそれで我慢だな」
肩を落とした国軍の人、同じく肩を落とした冒険者達が街へ帰っていった。
翌日。
「ロイ様、ファティア様がお呼びです」
「了解しました」
(妖精銀関連かな?)
(でしょうね)
そのままファティアの部下と一緒に城の地下へ。
「察しはついていると思う。妖精銀関連ね」
「ふむ」
珍しく渋い表情のファティア。結構ダメージがありそうだ。
「持ち去ったのはうちの兵士。テスファー38歳。病気がちな娘が一人いる」
「その娘さんの病気のために?」
「結果はそうなんけど、どうやら騙されたようでね」
「というと?」
「いいお医者さんに見せたら娘さんは大病だって言われたんだって。大金がかかるってね。しかしそれを治してしまえば元気な姿で暮らせると。それでこれまたタイミングよく大金が手に入る話が謎の商人から。言葉巧みに騙され最終的に妖精銀を奪取、と」
「そんな話が」
「彼は死体で発見された。その奪取された付近でね。奪って逃げて待ち合わせの場所で殺されたんだろう」
ファティアの表情はこれが原因か。
「んでそのお医者さんはニセの医者。うちの医者にその娘を見てもらったけど大病ってのはハッタリだったようだ」
「謎の商人の正体ははっきりしないが、多分ナーラと敵対している奴等の一人だろうと言われている。オークションでは勝てないからだとか」
「アテはあるのか?」
「それが……」
「敵対している商人が多すぎてね。絞り込めない」
「案外悪いやつっていっぱいいるんだな」
「いっぱいいるよ。ロイも気をつけてね」
「それで何かいい手はないかと考えているところ。ロイも一緒に考えて」
「了解」
「一軒一軒家探しは?」
「いくら国でも強引な捜査はできないな。ある程度確証がないと」
「そりゃそうか」
「そうそう」
「妖精銀発見装置ってのがあるんだけど、かなり近づかないと反応しないんだよねぇ。敷地に侵入することになっちゃう」
「それも難しいな」
二人でアイデアを出し合うがなかなかいいアイデアが浮かばなかった。
「どーしたものか」
「そうだな。奥の手として強引な捜査で」
「強引な捜査はちょっとねぇ」
「俺が飛び回ればいい」
「ぬおん?」
「捜査対象にするところはどうせろくでもないやつらなんだろ? それに俺の魔戦機は未だに謎の魔戦機だからな。何やっても謎で終わる」
「なるほどー。それは強引だなー」
目をつむりながら天を見上げるファティア。
「よし、それに近い方法で」
「もうじき収穫祭があるんだ。もうじきって言っても結構先だけど」
「その時に妖精花っていう花の花びらを国中にばらまくんだ」
「それをサイファーがやるわけか」
「うん」
「日頃サイファーで人助けの仕事ばかりやってきたからね。サイファーが飛び回っても嫌悪感は持たれないはず。むしろちょっと早いぞ♡ ってやさしくつっこまれるくらいかな」
「あれらの仕事にはそういう意味があったのか」
「サイファーが存在していることはみな知っているからね。ただどんなやつかわからないってのが一番怖いんだ。そこでイイコトばかりさせたってわけ」
「ほぉ、色々考えてたんだな」
「王女だからね!」
「ただ、この作戦はこのまちに妖精銀を持ち込んでいればって話だけど」
「そりゃそうだが。ああ、すでに国外へ持ち出した可能性もあるか」
「そうなんだよね。早く対応したけど国外かどうかは五分かな」
「それにこの街に置いてない可能性もあるしね」
「うーん。どうする?」
「一応やってみよう」
「わかった」
「ああ、他の妖精銀にも探知機が反応する?」
「いや、浄化が終わっていない妖精銀専用のやつを使うから反応したらほぼそこのやつが黒と言える。浄化はまだ終わってないはずだし。あれ結構時間かかるから」
「ふむ」




