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東の狂犬は、万年Eランクにしか懐かない  作者: 揚げ太郎
【プロローグ】
1/85

東の狂犬

 物心がついた時から、剣を振るうのが好きだった。

 アタシには才能があったようで、面白いようにどんどん上達していった。

 師匠のように強くなるんだ。家族が誇れる立派な武人になるんだ。そして、皆の役に立つんだ。

 そう信じて、ただひたすらに日々の稽古に励んでいた。

 最初は「類まれなる才能だ」と、皆がアタシを褒めてくれた。

 でも、アタシが強くなればなるほど。斬り伏せる敵が強大になり、その数が増える度に、一人、また一人とアタシから離れていった。

 どうしてなんだろう……。

 でも、アタシには剣術しかないんだ。

 もっと、もっと強くなるんだ。そうすれば、きっと誰かが認めてくれて、一緒に歩いてくれる人が出来るはずだ。

 けれど、そんな願いも、アタシの生まれ育った故郷では叶わなかった。

 ある日、家族から改まって呼び出されたかと思えば、突然『武者修行』を言い渡された。

 ……要するに、手に負えなくなった『バケモノ』の、体裁の良い追放だった。

 別に、気になんかしていない。

 新しい地で、アタシを求めてくれる本当の居場所を見つければいいだけだ。だから、故郷を出発する日、ただの誰も見送りに来なかったことだって、アタシは全く気にしていない。

 旅をする途中で『冒険者』という仕事を知った。

 どうやら、強ければ強いほど歓迎され、称賛される仕事らしい。アタシより強い奴なんて見たことがないから、きっと皆が喜ぶに違いない。

 そうして辿り着いた、ギルドがある東の都市。

 アタシはさっそく、冒険者らしい装いをしている奴に声をかけようと近づいた。

 ふと見ると、その隣には、なんだか弱そうな『おっさん』が立っている。驚いたことに、そいつも冒険者らしい。

 弱い奴は、どうせすぐにアタシの前からいなくなる。……しかし、なぜだかこのおっさんは『居なくならない』ような気がした。

 その不思議な直感の理由を知りたくて、アタシはその弱そうなおっさんに向かって口を開いた。

「才能がないのになんで冒険者なんてやってるんだ?」

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