エピローグ
ダイアンを演じた私に、婚約破棄を言い渡したフランツ殿下。その殿下から、わずか一時間後に、求婚されるなんて……。思っても見なかった。
でも、だからなのだろう。
私はダイアンのドッペルゲンガーだったのに。
彼女の憂いが晴れても消えることがなかった。
ドッペルゲンガーが消えない方法。
それは相思相愛である相手がいること。
いたのだ、私には。
それがフランツ殿下だったのだ。
あのオペラの観劇で二人で過ごしてから。
殿下が私を好きになってくれたように。
私も彼のことを好きになっていたのだ。
でもその気持ちに気付かないフリをしていた。
フランツ殿下がダイアンを好きになってくれた。
ダイアンへの好感度が上がったと、私は喜んでいたのだ。
だが実際は、殿下と私は相乗効果で気持ちを深めて行き……。
相思相愛になっていたのだろう。
結局ダイアンに、最初から最後まで振り回されたと思っていた。
でも……彼女は気づいていたのかもしれない。
私がフランツ殿下を好きになっていることに。
そして駆け落ちという形であったが、自身が姿を消すことで、私と殿下が上手く行くようにしてくれた……?
ダイアンから屋敷に手紙が届いた。
ここから遥か遠い国にいるが、アーロンと二人、元気でやっているという。
そこは季節がこことは逆で、まさに夏。
夏、真っ盛りらしい。
ひと段落したら屋敷に顔を出すつもりだというので、再会したらダイアンとじっくり話したいと思った。
一方、ヒロインであるロザリー男爵令嬢は……。
兄と非常にいい感じである。
二日に一回、二人は会い、デートを重ねていた。
兄とロザリーが婚約するのは……秒読みだと思う。
だって兄はヒロインの攻略対象なのだから。
ロザリーが兄を選んだのなら。そして邪魔をする悪役令嬢がいないのだから。
そうなったらゴールイン、間違いなしだ!
そして私はというと……。
「ダイアナ嬢、驚きました。王太子妃教育を受けていたのは、ダイアン嬢だけなのに。聞くとあなたは王太子妃教育の予備試験でほぼ満点ばかり。つまり王太子妃教育を改めて受ける必要はないとのこと。……いつでも婚儀を挙げることができますね」
「ダイアンお姉様の本棚には沢山本があって、それを見せていただけたからかもしれません」
そう答えて私は微笑む。
ホリデーシーズンの初日。
フランツ殿下と私は、あのオペラの観劇を終えた後に足を運んだレストランに来ていた。
記念日の意味合いを込めて。
なんとなく二人とも、白で衣装を統一していた。
殿下は白のセットアップ、タイとベストは淡い水色。
サラサラのプラチナブロンドの髪の彼は、白と淡い水色がとても合う!
何よりスラリと長身の美貌の王太子なので、どんな服でも素敵に着こなせてしまうのだ。
対して私は、雪の結晶がレースにデザインされた白いドレスを着ている。胸元と袖と裾に、淡い水色のファーが飾られている。
「ダイアナ嬢、見てください。雪が降り始めました。料理が出るには少し時間があります。庭園に出てみますか?」
「はい!」
フランツ殿下にエスコートしてもらい、テラスに出る。
「! 寒いですね」
殿下は微笑み私を抱き寄せる。
彼の体温がじわじわ伝わってきた。
「ダイアナ嬢」
フランツ殿下に名前を呼ばれ、顔をあげると――。
この世界で初めて見た雪。
そして殿下との初めての……♡
*♡*。・Be happy for ever and ever・。*♡*
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
悪役令嬢、ヒロイン、転生者、兄、全員ハッピーエンドの本作、読者様が楽しめたなら心から嬉しく思います。
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