第8話「効果的な緊要地形の制圧方法」
第8章第8話「効果的な緊要地形の制圧方法」
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第1軍集団作戦機動集団の戦い方は戦術の通りである。だが、時にはどうしようもない緊要地形と言うモノがある。当然地誌情報は開戦前に集めているのだが、集めるもなく分かるものがある。そして、21世紀を生きる読者諸君であれば、いちいち説明するまでもなく面倒くさいと思うだろう。中東とか中東とか中東とか、後中東とか、それと中東だな。
まぁ、引っ張ても仕方がない。市街地だ。市街地戦においてめんどくさい事を上げるのであれば、狙撃や伏撃、路肩爆弾、対戦車ロケット弾、車両爆弾、自爆特攻攻撃エトセトラエトセトラ。何ともまぁ、低コストで正規軍が運用する1両数億円の最新主力戦車や1人頭100万ドルもの巨額の訓練・装備費用がかかるという米軍海兵隊員をバッタバッタと倒してくれるものだ。戦場管理AIや戦闘支援用ナノマシン、生体情報モニターシステム、液体式アーマーシステム、筋力増強システム、エトセトラエトセトラ……現代科学もってしても、市街地戦闘での死傷者を完全にゼロにすることはできないばかりか、第二次世界大戦時と比べて飛躍的に進歩した戦場医療や歩兵防護の技術をもってしても増え続ける犠牲者に耐えきれず、ついにアメリカはモンロー主義に戻るまで幾ばくも無い。という状況に追い込まれていた。
だが、この時代はそこまでマスゴミや世論がうるさくない時代。国内法や国際法令を遵守さえしていれば何をしてもよい時代なのだ。だからこそ、軍政機関としてではなく軍令機関として法務幕僚部を設置したのだ。研究内容は国際法を最大限駆使した市街地戦闘の犠牲者を減らす方法である。
結果、効率の悪い支援戦闘は一切行わないということであった。ンなバカな!? という話ではあるが、支援戦闘というのは、指揮官にとっては実に厄介な存在だ。誤爆は断じて許されない。友軍を吹き飛ばしたらその瞬間、助けるはずの味方から銃弾の雨をプレゼントされるだろう。そもそも、戦闘の大前提としての自己の防護は最優先されるものであるが、誤爆されてうれしい人間などいない。誤爆されても許されるのはアメリカだけだろう。中国大使館をJDAMで精密誘導攻撃をしたのに国内のマックを襲撃しただけで許してくれたのだ。やはり超大国は何をしても泣き寝入りするしかないほどの絶望的な戦力を持っているからそういわれるのであろう。
___市街地内部に戦時国際法で保護されてしかるべき民間人や非戦闘要員、衛生兵などの特定保護戦闘要員が居なければ都市ごと破壊しても問題ない。
このように考えた。ならばこそ、地上部隊の作戦は都市の包囲のみにとどめ、重砲部隊による徹底的な都市区画の爆砕に努めるべきだ。そうすれば、損害は移動中の兵器や器材の損耗に限られるはずである。軍隊とはどこまで言葉を飾ったところで所詮は暴力装置に過ぎない。だから、活動するということはそれだけで何かしらの損害を受けてしまう不採算部門である。であるならば、可能な限りその赤字を削減すべきであろう。
国際法は工夫すれば合法化できる。国内法も合法化できないのであれば、そもそも改憲も視野に入れればよい。現状普通選挙が施行されていないのだから改憲に伴う国民投票など行う必要はない。最後に残ったのは倫理的な問題のみ。だが、倫理に反するからと言って、人的資源の浪費を許容すべきではないのだ。
法整備とはそもそも解釈と屁理屈の余地を作るのが肝心かなめであり、法律の運用とはその設計上の公差を探し、法解釈によってあらゆる制限を取っ払うことを言う。これは、ルールの穴や、バグ、仕様などをフル活用して常人が思いもよらないハメ技やらハメクラスを作るゲーマーたちと似ている部分があるかもしれない。
それこそ、どこぞの島国平和国家が、2024年の自民党による戦後初の憲法全面改訂まで軍隊の不保持を宣言していた第9条を維持していたくせに、原子力潜水艦や大型航空母艦、空中給油機、核非搭載型IRBM、空母の攻撃任務運用をしていたのだ。まさに法律とは解釈と運用であると超え高々に行っているようなものだ。まぁ、MD目的でイージス艦やイージスアシュアの配備や中距離拡大防空誘導弾の共同開発は分からんでもないがバリバリの侵攻戦闘機への中核素材の提供して、2個飛行隊分+教育所要兼予備機の調達計画立案とかどうなのだろうかと思うが。(まぁ、結局予算面で折り合いがつかず、F-35の格安販売となったのだが)
まぁ、法律論争なんぞ9割がたこじつけと言いがかりだ。言ったもん勝ちに近いところがある。裁判所が最終的な判断をすると言っても国際法は国家間の解釈によって大きな幅を持つ。さらに言えば、国際司法裁判所や国際海事審判所の強制力の無さは先祖たちが特定アジア3か国相手に散々学んだものだろう。だからこそ、歴史とは勝者によって紡がれるのである。ようは勝てばいいのだ。ただ、負ければその瞬間賊軍となるのだが。そして勝つのは我々だ。ならば我々が何をしようとそれは正義の鉄槌である。事実、2発の厳罰を市街地に向け投下し、全ての主要都市とほぼすべての地方都市を焼き払い、乗艦が沈没した乗組員や乗機が撃墜されたパイロットたちを何の躊躇もなく撃ち殺したアメリカが何の罰則も被害を受けておらず、ニミッツを連れてきただけで、デーニッツが無罪放免となったニュルンベルク裁判の様に勝者が悪もになる展開はあり得ない。
ゆえに、俺は命令する。全ての作戦参加将兵に対して、『悪魔の計画を実行せよ』と。
まず最初に行うべきは、国際法的に白になる事。これさえしておけば、後は騎士王国に対して勝つだけで何をしてもよくなる。最初に避難勧告を発令する。十分な猶予時間を設定したうえで。この猶予時間が重要だ。なぜなら無期限にしてしまうといつになったら完了したと見なしてよいのか議論の的になってしまう。
そして、避難勧告の猶予期間が終了次第直ちに次の勧告を行う『直ちに、無関係に一般市民を開放せよ。戦火より逃れるというごく当然の行為を抑圧する事は断じて許容できない。直ちにルーメリア王国市民を開放せよ』バルト海沿岸部の都市、カーングラードは30年前までルーメリア王国領であった。そして、その30年間の占領統治によって、旧ルーメリア王国軽市民はそのほとんどが亡命するか殺されるか奴隷狩りの被害合うかのどれかであった。つまるところ、人口比率においては恐らく1%程度であろうと言われている。だが、ゼロではないのだ。だから確実にいるはずである。
記録用の8㎜カメラを持たせた301の中隊が上空から市内をくまなく監視し、第1軍集団司令部映像写真偵察中隊の分遣隊が市内を一望できる小高い丘から監視させている。そのうち1つのカメラが避難しようとした旧ルーメリア王国系住民らしき市民を射殺したのを確認した。ならばこそ『改めて勧告する。我が国の親愛なる王国市民を解放せよ。これは命令である。諸君らの虐殺行為は到底許容できる行為ではない。直ちに解放せよ』と勧告し、待機させていた特殊部隊に民間人救出任務を下令する。
民間人救出作戦成功を確認したのち、最後の勧告を行う。
「ケーニッヒブルクを不当に占拠するテロリスト諸君に勧告する。我々は国家治安維持法第2条により規定された『警察力のみでは対処不能な特定重大犯罪の強行鎮圧』に該当するものとしてルーメリア王国軍第1軍集団が治安出動したことをここに明言する。諸君らの行いは国家治安維持法第37条第4項に反する行為である。同法第52条に基づき、諸君ら非合法武装犯罪勢力の代表者を接見させよ」
これで、王手だ。何をどう答えるのか聞いてみたいところである。
「我らは騎士王国に所属するカーングラード守備隊である! 我らは非合法な犯罪組織にあらず! また、ここはルーメリア王国にあらず! ただ、ルーメリア王国軍の非人道的な虐殺行為に心を痛めるものがいるのみ!」
大いに結構! 実に結構! これで完全に戦時国際法をクリアした。捕虜および民間人が存在せず、非正規の非合法武装勢力がいるだけという。戦時国際法を完全にクリアしつつ、ルーメリア王国国内法である国家治安維持法を根拠法として治安出動とすることで国際的な倫理観による批判もある程度回避できるという最高の結果である。
その後、沖合に展開した打撃艦隊による合計837発にも及ぶ艦砲射撃によりカーングラードは壊滅した。




