プロローグ
新シリーズ始動しました!
———皆さんは、"夢"をご存じだろうか。
誰しも、生涯で一度は必ず耳にする言葉だろう。
それは寝ている間にみることができる幻想。
好きな異性と遊ぶ夢。
富を手に入れ大金持ちになる夢。
名声を得て名を轟かせ歴史に残る人物になる夢。
それぞれが様々な夢をみて、幸せだったという者や楽しかったという者。
悲しかったという者や起きたら忘れてしまったという者。
無限の幸福と希望を与えてくれる、それが"夢"。
では夢を知っていれば——勿論"悪夢”もご存じだろう。
夢は夢でも幸福と希望を与えてくれる"夢"と違い、
"悪夢"は——みた者に恐怖と絶望を与える。
そしてもっと残酷な悪夢をみた者は——忘れられない。
この話は、夢美原市に住む未成年の少年・少女たちが一つの巨大な悪夢
————『City nightmere』と戦う物語である。
俺は田中敦。もうすぐ二十歳になる普通の大学生だ。どれくらい普通かというと、普通過ぎて必ず自己紹介で詰まるのがテンプレになっているくらい普通だ。
なぜ急にこんな話をしたかと言うと、実は、俺の住む夢美原には、昔からこんな言い伝えがある。
——曰く、『大人になりきっていない者は、ユメトリサマに囚われる』——だそうだ。
町の図書館などに必ず本があるくらい有名で、俺が小さいころは親に「いい子にしていないとユメトリサマに連れていかれるよ!」と何度言われたことか。そして夢美原には、この話を元とした童話がいくつもある。
勿論俺は、この話を信用していない。両親に中学生の頃見たことがあるのか聞いてみたが、ないと言っていたからだ。二つ上の姉にも聞いてみたが、返事は同じだった。
しかし、未だに信じている奴もいるようで、俺の大学にはそれを研究するサークルがあるほどだ。ちょっと前に近所の小学生たちが「俺、ユメトリサマと戦ったんだぜ!」と話していたが、詳しく聞かれると歯切れを悪くしていたから、多分嘘なんだろう。
よって、俺はこの話を一ミリたりとも信じていない。
…俺は何を一人で思い耽っているんだ。大学で疲れているんだ、きっと。帰ったらさっさと寝よう。
ほどなくして家に着いた。玄関を開けると母の作ったご飯が鼻孔をくすぐる。
「ただまー。今日のご飯なに?」
「おかえり。今日は塩サバよ」
「おー遅かったじゃないか敦。今日も図書館で勉強してきたのか」
まあな、と軽く返事をして席に着く。今日は俺の好きな塩サバだ。味わっていただこう。
「いただきます」
その後、ご飯を終えた俺は適当に風呂に入り今はテレビを見ている。特に面白い番組はなかったが、撮りためのアニメが大量にあったため、それを消化していた。しかしもう眠い。
「うわ、十一時じゃねーか。そら眠いわ」
テレビとリビングの電気を消し、自室へ向かう。両親は一階の和室で寝ているが、俺の部屋は二階にあるため、いかに音を立てず上りきれるかが日課となっている。
「んじゃ、おやすみっと」
電気を消した俺は、すぐに深い眠りへとついた。
この時は知る由もなかった。俺が、"悪夢"と戦うことになるなんて……。
次回もご期待ください!!




