元婚約者がやらかしたそうです
「確か王太子様がいらっしゃったんじゃないですか?」
久しぶりに『様』付けしたなぁ、一応平民だから敬わないとね、表向きは。
「そうだったんだけど、問題があるらしいのよ」
あぁ、ずっと被っていた仮面が遂に脱ぎましたか。
「何でも隣国のパーティーに招待された時にそこの王族に喧嘩を売るような発言をして外交問題に発展したみたいなのよ」
……何やらかしてんですか、あの馬鹿男。
「誰かフォローとかしなかったんですかね?」
「さぁ?」
ですよねー、一般人ではわからないですよねー。
でも、婚約破棄された時に取り巻きの輩も一緒になって罵詈雑言ぶつけていたから基本的に王太子に意見を言う事はしないだろうなぁ。
大臣とかは基本的にイエスマンだからなぁ、私の両親も含めて。
しかし、隣国ってどっちの隣国なんだろう?
うちの国、ケビライ王国と隣接している国はウガダイ国とランツァイ国だ。
ウガダイ国はうちの国よりも領土は小さいし、規模も小さい。
外交問題になったとしても特に問題はないはずだ。
だがランツァイ国を敵に回すのはマズイ。
ハッキリ言ってランツァイ国は国の規模や財政、武力全てに置いて我が国よりも上だ。
いくら自己中でもそれはわかっている筈だし私だって王妃教育の時に教師に散々言われ頭に叩き込まれたのだ。
おかげでランツァイ国の貴族とは仲良しだし庶民になった今でも手紙のやり取りをしている。
ぶっちゃけ亡命しようかと思ったけどそれこそ外交問題になるかもしれないので留まっている。
私は話を聞いた後、ランツァイ国にいる友人に手紙を出した。
そういえば、この村に来てからは手紙を出していなかったんだ。
ほとぼりが下がるまで旅をしていたからね。
私は週に一回は来る郵便屋に手紙を渡した。