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素人おっさん、第二の人生でサッカーライフを満喫する 作者:ハーーナ殿下@青森県弘前市
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第41話:学級委員長とリーダーシップ

 6年生になってから1ヶ月が経ち、5月になっていた。

「では、これからHRホームルームを始めます!」
「「「よろしくお願いします!」」」

 学級委員長のオレの号令に続き、クラスメイトが挨拶をする。

「今日の話し合いは学習発表会についてです。意見のある人は、手をあげてお願いします!」

 その後のHRもオレの司会役。内容をどんどん進めていく。
 なるべく全員から意見を聞きだして、平等な意見として扱っていく。
 途中の記録は書記係の人のお願いする。

「では、次は報告です。来週は体験実習があるので、忘れ物をしないようにしてください。では、先生、最後の挨拶をお願いします」

 最後もオレの挨拶で〆る。そんな感じで今日のHRも無事に終了するのだった。



 放課後となる。
 だがオレはいつものように、すぐに帰らない。
 少しだけ教室に残っていく。

「ねえ、コータ君、聞いてよ……コウジ君がエリカちゃんに、いたずらばかりするの……」
「うん、わかった。先生と相談しておくね」

「なあ、コータ。実はオレさ……」
「ふむふむ、そうか。それならボクと一緒に解決しよう!」

 学級委員長になったオレの放課後。
 そんな感じでクラスメイトたちの相談に、乗るようにしていたのだ。

 どうしても大勢の前では発言できない人もいる。特に多感な小学生は人の目を気にする。

 だから放課後にこっそり相談にのるようにしていたのだ。

「じゃあ、そろそろ練習に行ってくるね。なんかあった、明日でも!」
「コータ君、ありがとう!」
「練習頑張れよ!」

 時間になったので下校して、サッカーの練習場に向かう。この分なら自主練習にも間に合いそうだ。

「ふう、今日も学級委員長は疲れたな……でも、充実して、面白い!」

 ダッシュで下校しながら、学級委員長の日々を思い出す。
 先月から就任した学級委員長は、なかなか忙しい役職であった。

 主な仕事は『HRの仕切り。毎月委員会にクラス代表で出席。生徒会行事に参加。集合した時の点呼』などがある。

 結構な作業があるが、多くは授業時間内での仕事だった。
 そのお蔭で早朝と放課後の自主練習には、思ったよりも支障がないのだ。
 これはかなりありがたいことである。

「今のところは順調だな。これも『ヨーロッパ式クラス委員長の心得』のお蔭だな」

 学級委員長に就任するあたり、オレは先月から勉強をしていた。
“どうすれば学級委員長になれるのか?”

 本気で全力で勉強していった。
 そこで見つけたのが一冊の本……『ヨーロッパ式クラス委員長の心得』だった。

 それによると
《学級委員長の本来の仕事とは》
1.クラス全生徒の代弁者
2.生徒一人一人を助ける
3.生徒の要望や提案などを、教員、校長、保護者に伝える
4.クラス内で問題が生じた場合、両者の間に立って相互理解を促す
5.必要な会議に出席し、その決議をクラスに伝達する

 と書いてあった。
 この本の内容を見つけた時は、なるほど! と思った。
 学級委員長の仕事内容が明確に書かれていたのだ。

 どうしても日本の学級委員長は、“先生のお手伝い係”というイメージがあった。

 それがヨーロッパ式だと違った。どちらかといえば中立な立場なのだ。

 それ以外も人物像にも詳しく書いてあった。

《学級委員に求められる人物像とは》
1. 皆の前で堂々と発言できる
2. 全ての生徒と平等にコミュニケーションがとれる
3. 生徒の権利と義務を把握している
4. 勇気がある
5. 妥協策を見い出せる

 この5点もオレをうらなせた。
 なるほどだった。

 特に2番のコミュニケーション問題と、5番の妥協策については、オレは目から鱗が落ちる状態だった。

 クラスには色んな個性の子供たちいる。成績が優秀な者がいれば、出来ない者もいる。
 また口が上手い者と、主張を上手く言えない者もいる。

 小学生の考え方にいたっては、本当にバラバラである。大人の理論など通じない混沌の世界。

 だからこそ学級委員長は全員を平等に扱い、なおかつ妥協策を導き出す必要があったのだ。

 これらのことに気を付けて、オレはこの1ヶ月間、クラス学級委員長をしてきたのだ。

 あと、ちなみに「委員にふさわしくない人物像」も書いてあった。内容は次の通りだ。

1.先生のお手伝い係
2. 役割を投げ出してしまう人
3.生徒と一緒になって、お祭り騒ぎをするような人
4. 何でも一人で片付けてしまう人

 これにも驚いた。

 特に4番は間違って考えていた。
 今までのオレはどうしても、一人で片付けようとしていた。

 だが実際にはリーダーとは、一人で片付けてはダメだったのだ。
 クラスの皆と相談しながら、問題に向き合っていく必要があったのだ。

 だからオレはクラスの皆に、必ず相談していくようにした。
 その結果が失敗に終わっても、それは仕方がない。

 重要なのは結果ではない。
 みんなで挑戦するという過程だったのだ。

「これが分かっただけでも、学級委員長に立候補してよかったかもしれない……」

 今までのオレは間違ったリーダーシップを覚えていた。
 だが学級委員長について学んでいく内に、本当のリーダーシップの意味に気が付いてきたのだ。

「おっ、練習場が見えてきたぞ。今日もみんな、早いな! ボクも負けずに頑張らないと!」

 リベリーロ弘前の練習場が見えてきた。
 この後5時からチーム練習がスタートする。それまでに少しでも自主練習をしておかないと。



 夜の7時になり、チーム練習の時間が無事に終わる。
 解散前にコーチと全員で、いつものミーティングを行う。

「私から連絡は以上だ。お前たちは何かないか?」
「はい、コーチ! ボクから一つ提案はいいですか?」
「いいぞ、コータ。どうした?」

 練習内容に関してコーチに提案を行う。
 今年の新4年生は予想以上に上達が早かった。

 だから去年よりも早いスケジュールで、練習の密度を上げていってはどうか、と提案する。 
 実はこれは新4年生から相談されていたことだった。

「お前たちがいいなら、いいぞ。明日からは、バシバシ厳しくいくから、覚悟しておけよー」
「「「はい、コーチ!」」」

 ふう……オレの提案が無事に通った。
 これで今まで以上に充実した練習が可能である。

 どうしても下級生は遠慮して、公の場で意見が言えない。だからオレが4年生から、さっきの意見を吸い上げたのだ。
 これは学級委員長について学んでいたら、ふとチーム内でも気が付いたのである。

 よし、ミーティングが終わった。
 チーム練習は無事に解散となる。
 オレはいつものように居残り練習をしていく。

「さーて、今日も頑張るか……ん? あれは……」

 居残り練習をしていた時である。
 とある6年生のチームメイトが目に入る。いつもとは違い、少し暗い表情である。

「ねえ、どうしたの? 悩みごと?」
「あっ……コータ。実はオレさ……」

 チームメイトに駆け寄り、声をかける。どうしたのか話を聞いてみることにした。

 それによると彼はスランプに悩んでいたという。上手い5年の後輩にレギュラーを取られそうで、苦しんでいたという。

「そっか……じゃあ、ボクと1対1の練習しようよ!」
「オレとコータがか?」
「うん。悩むより、一緒に探してみよう? 自分の長所を見つけて伸ばしていけば、絶対に道はあると思うんだ!」
「オレの長所か……そうだな、じゃあ、やろうぜ、コータ!」

 悩んでいたチームメイトと練習していく。
 たしかに彼は飛びぬけた才能はない。

 でも、守備の強さに関しては、チーム内でも屈指の強さをもっていた。
 リベリーロ弘前は昨年の全国チャンピョン。
つまり彼は全国屈指の守備の強さがあるのだ。

それって実は凄いことである。そのことを二人の練習で再確認していく。

「コータ、ありがとうな! オレ、明日からまた頑張るぜ!」
「うん。じゃあ、また明日ね!」

 ふう……。
 どうやら悩みは無事に解決したようである。チームメイトは笑顔で帰宅していった。

 それにしても、こうしてチームメイトたちを見ていくと、本当に色んなことに気が付く。
 これまではオレは自分だけのサッカーと、チームが勝つことばかりを考えてきた。

 でも、チームメイトたちはまだ小学生であり、色んな悩みことを抱えていた。
 そして同時に未知なる可能性を秘めていた。

 一人一人の可能性を再確認しているだけで、最近のオレには新たなる気づきがある。
 自分のサッカーのプレイスタイルにも、新しい考えが浮かんでくる時もあったのだ。

 もしかしたら学級委員長で学んだことが、最近ではチームでも生かせているのかもしれない。

「おい、コータ」
「あっ、ヒョウマ君」

 もうすぐで居残り練習も終わりとなる。
 帰り際のヒョウマ君が、声をかけてくる。
 今日はどうしたのかな?

「キャプテンらしい背中になってきたな、コータ」
「えっ、背中? ボクの背中に何か付いていた?」

 ヒョウマ君の言葉に、自分のユニホームの背中を見て見る。
 でも背中なので上手く見えない。どうやら何かついている訳ではないらしい。

 それにして、よく考えたら“キャプテンらしい背中”って、いったいどういう意味だろう。

「そういう意味じゃない。そういう“抜けた”ところは、相変わらずだな。だがコータらしい、いいキャプテンだな」
「そうかな? うん、ありがとう!」

 よく分からないけど褒められた気がした。
 もしかしたら、この1ヶ月間、もがいていたオレを、ヒョウマ君は見ていてくれていたのかもしれない。
 心配していたのかもしれない。

「あっ、そうだ。思い出した! チーム練習のことで、ヒョウマ君に相談があるんだけど……」

 学級委員長&キャプテンたる者、悩んでいることは一人で解決してはいけない。
 仲間であるヒョウマ君に、悩みを相談してみる。

「ああ、分かった。オレ様も協力してやる」
「ありがとう!」

 なんとかヒョウマ君の協力も得られた。
 明日からまた忙しくなるぞ。

 そういえば最近、何となくキャプテンや学級委員長、そして“リーダーシップ”というモノが見えてきた気がする。

 だがオレの性格は猪タイプであり、たまに周りが見えずに先走りしそうになる。
 でも、そんな時、最近はアル声が聞こえてくるのだ。

『おい、コータ! しっかりしろ!』
『焦る必要はないぞ!』
『お前らしくいけ、コータ!』

 それはキャプテンたちの声であった。
 この5年間オレの世話になった、歴代のキャプテンから言われた言葉であった。
 いつも暴走していたオレを、大きな声で守ってくれた先輩たちの想いが、時おり聞こえてきていたのだ。

(そうか……キャプテンになったからといって、焦る必要はないのか。オレはオレらしいキャプテンに)

 その声を聞いて、オレはいつも落ち着きを取り戻すのだった。
 あまりロマンチックな話なので、オレの秘密の現象にしておく。



 こうしてオレはキャプテンとして何とか奮闘していく。

 個人的にもチーム練習と自主練習に、今まで以上に努力していく。
 それに刺激されたかのように、チームメイトたちも成長していく。
 こんな感じで今年もリベリーロ弘前は順調に強くなっていた。

6年生の6月になった、ある日のことである。

「おい、お前たちに朗報だ。頑張れば、このチームでヨーロッパに行けるかもしれないぞ!」
「「「えー⁉ ヨーロッパに⁉」」」

 コーチのその言葉に誰もが驚いた。
 リベリーロ弘前にある国際試合の予選の、招待状が届いたというのだ。

 国内予選を突破した、日本の最強の小学生チームの1チームだけ。
 その国内優勝チームはヨーロッパで開催される、ジュニアチームの国際大会に参加できるという。

 更に国際大会で優勝すれば、“世界一のジュニアチームの栄光”が手に入るというのだ。

「リベリーロ弘前で……このチームで世界一に挑戦か……すごい!」

 壮大なスケールの話に、オレはかつてないほどに興奮していた。
 もちろんチームメイトの皆も同じ。コーチが国内予選に参加する返事を出してくれる。

「世界に挑戦か……」

 こうしてオレたち世界大会に挑戦することになった。
ツギクルバナー
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