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あんこデラックス  作者: キノぴょ
7章 〈メイドの黄味、黄味〉
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第84話 女王のメイドたち

 糖京都心。甘チョコ区。女王住居。

 女王の寝室。

「は!」

 アンコリンは、ふかふかのベッドから起き上がった。

 専属メイドが、345人いる夢を見た。

 多すぎだ。

 女王住居の大きさもあやふやで、明らかに夢だった。


「おはようございます。女王アンコリンちゃん」

 専属メイドのサブリーダー玉緒さんが、朝の顔を拭くタオルを持ってきてくれた。

 その後、髪をとかしてくれる。

「あ、何か。ありがとう。玉緒さん」

 いつもは家政婦業の女性に、やってもらっていたのだが、玉緒さんに代わってから、少しうれしい。

 同じ、恋する女の娘だからだろうか。


「キミトくんとは、上手く行ってるの?」

「上々だよ。女王アンコリンちゃん」

 アンコリンが、スア丸と仲良しなように、一緒に仕事をしながら、時間を共有していると言う。

 好きな人と職場が同じというのも、なかなか良いものだ。

 アンコリンも、それは、実感している。

 甘味女王としての仕事というか、恋の応援を主に頑張っていると、不安な時も、どんな時も、スア丸と一緒なのが良いからだ。

 うれしくなる。



 第84話 女王のメイドたち



 女王の食卓。

 朝食。

「今日は、レタスコッペパンですパン」

 交代制料理人の一人。コッペパンの精霊コッペさま。

「はい、女王アンコリンちゃん」

「ただいま、お持ちしました」

 玉緒さんが、アンコリンの分。

 キミトくんが、スア丸の分を持ってくる。

 新鮮なレタスは、みずみずしい。


「しん、せ〜~ん」

「新鮮だワン」

 朝のレタスは、シャキッとしている。


 玄関。

「今日のスケジュールは、甘味宮殿で、甘味精霊問題の会議があるそうです」

 キミトくんが、スケジュール帳を読み上げる。

「会議だね。頑張れ」

「私、会議って、いつも途中で眠っちゃうのよね」

「可愛いワン」

 玉緒さんの声援に、頑張れるか不安なアンコリン。

 スア丸は、寝顔を見るのが楽しいらしい。


「女王。忘れもの無いピヨ?」

「ピヨピヨ」

「ピーヨ」

 ヒヨコメイドたちが、集まってくる。

 そして、専属メイドが総出で、頭を下げる。


「いってらっしゃいませ」




 糖京都心。甘チョコ区。甘味宮殿。

 駐車場。

「到着しました。女王アンコリン。スア丸くん」

 女王専用車の専属運転手シボルさまが、車のドアを開けてくれる。

「いつもありがとう。シボルさま」

「ご苦労ワン」


 玄関。

「おはよう」

「お待ちしていましたよ」

 精霊代表バーニさまと、お目付け役のメイプルくんが出迎えてくれた。


「久しぶりに女王住居を出たわ」

「専属メイドたちが帰ってきましたからね」

「また、恋の応援してたんだろ。アンコリン」

 メイプルくんとバーニさまが、笑っている。

 自身の専属メイドたちの恋の応援すらしてしまう。

 笑うしかない。

「何で、笑うのよ。女の娘は、いつも真面目に恋してるの」

 女の娘は、いつも、恋に大真面目。

 全力を出している。

 バーニさまや、メイプルくん、甘味精霊たちが、仕事に全力を出すより、もっともっと力を使っている。

 女の娘は、運命の恋を見つけたら、全力で頑張る。

 今回は、玉緒さん。

 年下の男の子との恋を叶えた。

 恋人同士になって、これから、ずっと大好きな人と一緒にいる。ずっと笑顔で過ごす。

 女の娘は、恋するために生まれてきたのだ。


 会議室。

「ぐう」

 アンコリン、寝ている。

「まだ、会議すらはじまってないぞ。眠り姫」

「寝顔が可愛いワン」

「メイドたちの恋の応援に疲れたんですね」

 バーニさま、スア丸、メイプルくんは、代わりに会議に聞き入った。

 内容は、甘味精霊のメンバーの見直しについて。

 新しい甘味精霊を加える話が議論された。



「アンコリン。起き〜るワン」

 スア丸にほおずりされて、アンコリンは目覚めた。

「は!」

 会議を思い出す。

 会議室には、スア丸以外にバーニさまとメイプルくんしか残っていなかった。

 いつものメンバーである。

「いったい、何があったの?」

「寝不足なのか」

「会議は、終わりましたよ」

 どんな話かは、くわしく教えてもらえなかった。

 会議が終われば、帰るだけ。

 帰れば、玉緒さんたち専属メイドが出迎えてくれる。

 女王住居に帰るのは、いつもホテル暮らしのような、綺麗な場所に、“戻る”だけのイメージだった。

 しかし、帰る。そう思える。


「私、帰る場所ができた気分」

「僕も、ずっと一緒だワン」


 女王住居に、“帰る”と、専属メイドが待っていてくれた。


「おかえりなさいませ」


「ただいま」



 ジャパン国。糖京都。

 女王住居に専属メイドたちが退院してきた。

 先代シュガーリーの頃からのメンバーは、皆んな良い人たちだったね。

 その中で、キミは、玉緒さんの恋を叶えた。

 キミにとって、女王住居は、本当の家になったんだ。

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