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『独立国家のつくりかた』   作者: ピエロ
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こうして僕は、引きこもりになった。

作者:引きこもりのピエロの紹介

僕が会社を辞めたのは、10年前のことです。どれだけ成績を上げてもボーナスは出ず、1円ぽっちも昇給しない会社に嫌気がさして、独立の道を選びました。


家に帰って独立開業することを両親に伝えると、母は不安そうな顔で「もう少し考えた方がいいんじゃない?」と言いました。父は黙って何も言いませんでした。


先に顛末を話せば、半年前、僕は40歳を前にして、大人の引きこもりになってしまいました。


それまでは、苦しみながらも外で仕事を続けて来ました。借金をして、アルバイトもしながら、何とか自分の事業を継続して来たのです。そして9年半持ちこたえて、やっと努力が実り、事業が成功の兆しを見せ始めます。自分の開発したサービスが、メディアで取り上げられたのです。ラジオに2度出演し、テレビに1度出演しました。けれどその途端、なぜかすべてのやる気を失ってしまったのです。


半年前、ようやく9年半の努力の成果が見えたのに、仕事どころか、生きる気力さえも失ってしまいました。


夜はなかなか寝つけず、寝ても嫌な夢を見て何度も目を覚まします。それでも横になったまま、布団からは絶対にでません。水を飲みに行くのも、トイレに行くのさえも、とても億劫で面倒くさいと思うからです。何がどうなったって自分には関係ない……そんな心持ちです。


布団に入ったまま昼過ぎになると、さすがに「このままではいけない」と思い直し、ようやくパソコンの前にたどり着きます。けれど、友だちや仕事関連のメッセージを開くことはどうしてもできず、毎日YouTubeばかり見ています。


そして気づけばもう夕方になっていて、ファミレスにご飯を食べに行き、コンビニで酒を買って帰る……そんな日々をここ半年間過ごしています。正直、死んでしまいたい気分です。


母親は毎日ご飯を作って、台所のテーブルにラップをかけて置いといてくれます。けれど、それには絶対に手をつけません。「ご飯食べないの?」と、母が毎日尋ねて来ます。母の優しさが、殺意を抱くほどに腹立たしく思えます。


そして相変わらず、父親は何も言いません。


僕の名前は、ピエロです。

40歳手前の引きこもり。

赤字事業と借金を抱えています。


【Twitter】ストーリーに参加するには、フォローをお願いします!

ピエロ@独立国家のつくりかた(@twpiero)

https://twitter.com/twpiero

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