1話-ex 謎の現象 ~呼出ver.
桜侍には葛西兄弟の他にもう一人幼馴染みがいる。
彼の名前は古山圭祐。
げっ歯類が好きすぎてたまに暴走するが、それ以外は桜侍と同じく平凡な少年である。
桜侍とは学校も学年も、さらに言えばクラスまでも一緒で、いつも二人で登校している。
この日も変わらず学校に着いて、上履きに履き替えようとしたところだった。
靴箱を開けた瞬間、いつもとは違って何かが桜侍に向かって落ちてきたのだ。
「うわっ!?」
突然のことで声を上げてしまったが、そのふにゃりとぶつかってきたものの正体は、テニスボール大程の小さなぬいぐるみの山だった。
潰れない程度に目一杯詰められていたのか、かなり量がある。
何が何だかわからないがとりあえずそのままにしておくわけにはいかないので、桜侍は靴を履き替えるといそいそと落ちている分を拾い始めた。
「流石に落とし物ってわけじゃないよな?わざわざ俺の靴箱に入ってるし。…もしかして入れる靴箱を間違えたのか?」
「本当に何なんだろうな。…よし、俺も靴を履き替えてから拾うの手伝うよ」
そう笑って圭佑も続いて自分の靴箱を開けた。
するとその瞬間、どばどばと向日葵の種が滝のように流れ落ちてきたのだ。
「………」
「………」
それは数秒のことであったが、二人は落ち着いてからもしばらく呆然とそれを眺めていた。
桜侍よりも衝撃的なことになっている。
最早他人のことなど笑っていられない状況だ。
「なぁ、もしかしてこれっていつもの親衛隊の嫌がらせか?」
「多分、そうだよな…」
これらの謎の現象に二人は首を傾げながらも、そう片付けてそれ以上気にしないことにした。
そしてぬいぐるみと向日葵の種に罪はないので、そのまま貰っておく。
桜侍はぬいぐるみが好きであるし、圭佑はこっそり校庭でハムスターを飼っているので別段困らない。
寧ろありがたい。
二人は片付けてそれらを鞄に詰めると教室へ向かった。
これは桜侍が楓の名前を知った翌週の出来事であった。
そしてこの翌日、桜侍は楓に何故か駄目人間と出会い頭に叱責され、首を傾げることとなる。




