ep.29 駆除
わたしには、わたしだけのひみつの場所がある。
ママと家の近くにある図書館にいったときにたまたま見つけたの。
うら口の草むらでおこなわれている、ねこさんたちのあつまり。ママが本を返したり貸したりしている間、わたしはねこさんたちに会いにいくんだ。
いつもはママとやくそくした時間になったら、ママのところにもどるのだけど、昨日はいつもとは違うねこさんがいたから、もどるのがおそくなってしまったの。うら口でママに声をかけられたとき、びっくりしちゃった。ママがとても心配してたから、ごめんなさいをしたわ。ママはわたしをだきしめてくれて、とてもうれしかった。
いつもよりたくさんねこさんとあそんだから、なんだかねむくなっちゃって、ママのそばでうとうとしてたの。ママはだれかとお話しているみたい。むずかしいお話だったみたいで、ママはかなしそうな顔をしてたな。
今日はわたしはおるすばん。でも、ねこさんたちにあいたくてこっそりお出かけしたの。いつものように、図書館のうら口へ。
そこには知らない男の人がいて、ねこさんたちを次々に大きなふくろに入れていたわ。やめてほしくて、鳴きさけんで男の人の足にかぶりついたのだけど、けられてねこさんたちと同じふくろに入れられてしまった。
ふくろの中のねこさんはぐったりしてる。わたしがなんとかしないと! でも、さっきけられたおなかがいたくて何も考えられない……。
「こちらではわかりかねます。申し訳ございません。」
電話の相手は「もういいわよ!」と言って、電話を切った。同僚が「ヒステリックなババアの相手も大変だな」とコーヒーを差し入れてくれた。
「図書館裏口の猫の駆除を依頼してきたババアだろ? さっきの電話。」
差し入れついでにひと休憩いれるらしい同僚に俺も付き合う。
「そうだよ。自分のペットの飼い猫も駆除された猫の中にいないかって。」
「自分の飼い猫くらい、ちゃんと面倒見ろよな。」
「それな。」
キーワード:「猫」「図書館」「秘密」




