処罰
「そいつのせいだ!おいらたちは、脅されたんだ。言うことを聞かないと畑を取り上げると」
「そ、そうだ。食料が援助されても、渡さないとも言われた」
「だから、仕方なく」
村長の息子という立場を利用して脅した?
一番嫌いなパターンだ。
「今回は、聖女から盗んだのですから、死刑は免れないでしょう。本人だけでは済まない。連帯責任で一家取り潰しで3親等まで皆処刑ですね」
死刑?処刑?
「どうします?リコ様」
畑を荒らしたことは許せない。でも、ジャガイモを盗んだことは飢えが辛いと身をもって経験している人たちを責める気にはならない。
男が両膝をついた。
男に脅されたと言った者たちは、がくがくと激しく震えている。
「そんなつもりじゃ……」
「助けてくれ、家族の命は」
鞭打つのも手を切り落とすのも、ましてや死刑なんて……。
「……強制労働させます。よほど土を掘り返すのが好きなようですから……。井戸を掘ってもらいます」
ほっとしたように息を吐きだした者たちを睨み付ける。
「4人ずつに分かれれば5グループできるでしょう。5グループで競い合ってもらいます。最後まで水が出なかったグループには、それ相応の罰を。初めに水が出たグループには褒美を。畑の脇の道、×印がつけてある場所から好きなところを選んで掘ってください」
罰が課せられるという話を聞き目の色を変えた者もいれば、褒美が出ると聞いて目の色を変えた者もいる。すぐに周りの人間に声をかけて井戸を掘りに向かった者もいれば、呆然として状況を把握できないままの者もいる。
「ああ、リコ様はお優しい。そんなに軽い罪で許すとは!」
セスが芝居がかった声を出す。
もしかして、私が悪者にならないように、わざと脅しをかけるようなことを村人に言ったのだろうか。
「セス、彼の処分だけはあなたにお願いするわ」
村長の息子。彼は他の村人とは別格だ。主犯格で一番罪が深い。
「父親の村長の地位はく奪。村にこのまま残ってもいいのか、追放かは村人に決めてもらいましょう。新しい村長の選出と、処遇が決まるまでは謹慎。家から出ないように。もし破るようなことがあれば、当初の処罰を下します」
セスが両膝をついていた男の首根っこをつかんで立ち上がらせ、村へと、謹慎するべき家に向かえとばかりに背中を押した。
泣きそうだ。
私なんて、ただの成り行き聖女だ。
偉くも立派でもない。そんな私が処罰を下すなんて……。
泣くな。泣くな。まだ、泣いちゃ駄目だ。
「大変だったわね。少し早いけれど、お昼にしましょう」
無理に笑顔を作って、声をかける。
「鍋の様子はどう?」
おばあさんに声をかければ、うんと頷いた。覗き見れば、少し型崩れしたジャガイモがたくさん入っている。これならしっかり火も通っているだろう。
「じゃがいもの入ったスープに、パン」
「ゴミと言ったのは誰だったかね。こんな美味しいスープがゴミなわけがないだろう」
「骨を使ったと言っていたけれど、私たちにも作れるのかしら?」
スープの味は気に入って貰えたようだ。
セスに呼ばれて、侍女たちも食事にやってきた。皆も満足そうにスープとパンを食べている。
「……彼らにも、分けてあげてね。畑をあんなふうにされていい気はしないでしょうが……労働していることに変わりはないので」
おばあさんに声をかけると、深く頭を下げられた。
「ありがとうございます……あんなことをしでかした息子をお許しくださり……」
そうか。息子さんがあの中にいるのか。
胸が痛む。
食事が終わると、今日は予定があるからとアイサナ村を後にする。
実はだいぶ前に書いてあって、思い出したかのようにぽつぽつ更新している。
……なかなか更新作業に着手できずすいません




