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13. ガスパール — 俺はただの証人

ホテルに着くまで、そう時間はかからなかった。

車がホテルの前に止まった瞬間、ロザリアは周囲を見ることもなく車から飛び出した。

ルカ・バルディーニに会えるはずだった喜びに輝いていた顔は、今は恐怖と不安に満ちていた。


彼女はあまりにも早くホテルへ駆け込んだので、追いつくために俺は後を走った。


「アントニオ、ルカはどこ?」

ロザリアは慌てた様子でロビーに入った。


「上です。お部屋でお待ちですよ、シニョーラ。」

アントニオは落ち着いた、敬意ある態度で答えた。


今日はアモーレ・アンティコは異様なほど静かだった。ロザリアが今日はカジノを閉めたらしい。

ロビーにはアントニオ・コンティしかいなかった。


ロビーに入るとき、アントニオは携帯でメッセージを打っていた。ロザリアが入ってくるのを見ると、隠すように携帯をズボンの後ろポケットに押し込んだ。そのとき、ポケットから一枚の紙が落ちたが、本人は気づいていなかった。


ロザリアが急いでエレベーターへ向かうと、アントニオも部屋まで案内するため後を追った。


「裏切り者だな。」


俺は靴ひもを結ぶふりをしてかがみ、床に落ちた写真を手のひらで拾い上げ、ポケットにしまった。


それは、ルカ・バルディーニがホテルに入る瞬間を撮った写真の一枚だった。

アントニオ・コンティもまた、ルカ・バルディーニを売ったのだ。


エレベーターには間に合わなかった。

階段で最上階まで駆け上がり、俺は息を切らした。


アントニオはロザリアを送り届け、すでに下へ戻っていた。


廊下の奥で、俺は彼を見た。

ルカ・バルディーニは大きな黒い木製の扉の前に立っていた。


薄暗い廊下の灯りの中で、最初に目に入るのはその長身ではなかった。

立ち姿だった。


黒いスーツは完璧に身体に沿い、白いシャツには一つの皺もない。派手さはないが、生地の重みと夜のように気高い黒が、彼が凡人ではないことを物語っていた。

波打つ濃い色の髪は肩に届くほど長い。

整った顔立ち、静かで冷静、そして強い男の視線。


あの目を見て声を荒らすには、相当な勇気がいる。


ルカ・バルディーニは、声を出さずとも認められる権威だった。


「ルカ……」

ロザリアは震える声でささやき、彼の腕の中へ飛び込んだ。


俺は階段の踊り場で立ち止まり、息を整えながら二人の再会を見守った。


ロザリアの姿を前にしたルカは、静かだが確かな所有の気配をまとい、彼女を腕の中へ引き寄せた。

左手で彼女の頭を自分の胸へ押し寄せ、右手は背中をなぞる。目を閉じ、唇を彼女の首筋と髪に埋めた。


ルカはロザリアを見ることではなく、感じることを恋しがっていた。

一息で彼女の香りを吸い込む。まるで長い間空気を失っていた肺に、初めて酸素が満ちるかのように。


ルカ・バルディーニは、自分の呼吸を取り戻したのだ。


ルカはゆっくりと顔を上げ、俺を見た。

まぶたが静かに上下する。それは言葉のない挨拶だった。


ロザリアを抱いたまま、ルカ・バルディーニが俺に気づいていたことは、予想外だった。


ロザリアが彼の腕の中にいる姿を見るのは、これが初めてだった。


その瞬間、俺は一つ学んだ。

人は、本当に帰るべき場所にいるとき、驚くほど美しく見える。


ロザリアが一番美しく見える場所は、ルカ・バルディーニの腕の中だった。


この再会のことを知ってからというもの、二人が抱き合う瞬間を俺は何度も想像していた。その光景は夜になっても俺を離さず、眠りを奪った。

気づかぬうちに、俺はロザリアに嫉妬していた。


ロザリアは俺のものではない。これからも決してそうはならない。

今日、改めてそれを思い知った。


不思議なことに、二人が抱き合う姿を見たとき、昨夜まで胸を締めつけていた嫉妬は跡形もなく消えていた。


胸を圧迫していた嫉妬の代わりに、受け入れが広がった。

だがそれは平凡な、あるいは仕方のない受容ではなかった。

魂が、感情が、身体が理解した受容だった。


二人が再び結ばれたその瞬間は、語らずとも伝わる、言葉を必要としない物語だった。


その物語の中で、ルカ・バルディーニはもはや強大なマフィアのボスではなかった。

ただ、愛する女に再び会い、深く息を吸い込む一人の男だった。


そこにいたのは互いを選んだ二人の恋人ではない。

生まれた瞬間から魂が結びついていた、一人の女と一人の男だった。


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