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絹の玉 消えゆく先 2話
▶歪み。
月がまん丸く揺れて見える。
そろそろ月が満ちる。
絹が居ない奥の宮は広く感じて、
寒い。
上弦の月が上がるのをこのところ、待ってしまう。
隣で眠っている宮娘は、
どんどん若い娘になっていく。
私が老いたのか・・・?
相応の娘は、
避けるようになっていた。
月をぼんやり見あげる。
私は、いったい誰で
何なのだろう。
月が満ちた。
奥の宮へ戻ると、
顔のない老人が居た。
絹の部屋の真ん中に座っていた。
この宮は寒い。
なんでだ?
何なのだろう。
顔のない老人は、ゆらゆら揺れて見えた。
静かなこの宮から月を見ながら酒を飲む。
絹の夢をみる。
起きるといつも、知らない女がいる。
絹の居た空間に…、
許せない。
消えてくれ。
そこは、絹の場所だ。
夜が来て月が昇り酒をあおり、絹の夢を見る。
絹は、私の頭を優しく撫でる。
絹。
そろそろ秘密の時だ。
ゆきと葉月、
それに保も来るのではなかったか?
絹。
・・・。そろそろだ。




