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三夜城家 夢の終宴 17話
▶父。
父は、やさしい。よわい。
父は、・・・。
いつもよく見えない。
母の少し後ろの方、ゆらゆらゆれる御簾の中に居る。
わたしも、御簾の中へは入れない。
御簾の外に居ることもあるが、
三夜城の家の者でも、父を知らない者の方が多い。
と、侍女が言っていた。
父は、わたしにやさしい。
妹にもやさしい。
母と父、妹とわたし。
4人だけのひみつの時間には、
あたまを撫でてくれることもある。
わたしをお膝に座らせてくれたりもする。
妹を大事そうに持ち上げて、うれしそうに笑って、
母にみせて笑う。
母は、わたしや、妹にするように、
頭をなでる。 他の男の人とは、ちがった人だ。
美しい人。
他の男の人よりずっと、
妹がいなくなってから、父は、伏せている。
母から離れない。
母の居る部屋の奥に御簾を掛けて布の中にいる。
ゆらゆら揺れる御簾の中に座って、
顔を隠して、うつむいている。
近くに寄ると、泣いているのがわかる。
妹がいなくなってから、ひみつの時間はない。
武門との宴席も、
奥の部屋に御簾を掛けて布の中で、顔を隠して泣いている。
宴席にいる誰も父が泣いている事に、気づかない。
誰も父を見ない。
居る事にすら気づいていないのかもしれない。




