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志乃武家 双葉 4話
▶元服 次期当主
元服してすぐに、篠を呼び戻した。
冬には、戦が落ち着いて志乃武の村に戻ってくる。が、
それまで待つ必要はない。父にも了承を得ている。
篠は、しぶしぶ戻って来たが。
私が主になる。
(もう遠慮する事もない。ここは、私たちの村だ。)
“他家へ入るのは、謀反の意ありとみなす。”
同席の者が、ピリついた。
篠は、呆れた顔をしたが、
私と父は、つい、にやにやと笑いがこぼれてしまう。
その夜は、ささ殿が篠兄弟に山菜やらなんやらを持たせて、
本家へやって来た。
母も、床から出てきて、嬉しそうにしている。
ようやく篠が居る。
生きて帰って来た。
篠が誇らしく、頼もしく、
何より、ほっとして、隠れて泣いた。
こんな情けない私を知っているのは、篠だけだ。
いつも肩の荷を分けて持ってくれる。
篠は、生涯この家と、私に、仕えると、
皆の前で、公言した。父にも。
父は、ただ「よし。」と言った。




