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にゃん鬼行  作者: てふ
三夜の夢
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志乃武家 双葉 2話

▶志乃武家の母。

私の母は、志乃武家の正妻として、

他所の村から嫁に入った。


もともと体が弱く、私を産んでから

ずっと、床に伏している。


(しの)の母は、志乃武の家の側室で、

この村で産まれて、この村で育った

父の幼馴染だ。


そして、私の乳母でもある。


私の母が、子を成せないのではないかと

心配した家の者が入れた側室で、

すぐに篠を産んで、次男のおとも産んだ。


父は、母に気を使ってか、篠親子を別の屋敷に住まわせた。

別といっても、畑を挟んで向かいだ。

篠の母は、まったく気取ったところのない人で、

篠も音も連れて、本家の私の母に会いに来る。


物心ついた頃には、篠兄弟と私は、3人いつも一緒だった。

篠の母が毎日、畑仕事の合間に母の部屋を訪ねるので、

畑側の戸はいつも開いている。

母も具合の良い日は、縁側に出てお茶を用意していたりもする。


篠の母は、篠も音も私も、どれも特別に扱ったりはしない。

”子どもは、子どもでしかない。”とよく言う。


大人の事情は、わからない。

本当の兄弟の様に一緒にいる。


母は、押されてはいたが、

なかなか馬が合うのかよく笑っている。


私と、篠は、一緒に育つ。

もし母が、い亡くなっても…。



雨が続いたある日、母の容態が悪くなった、

咳がひどく、嘔吐もあった。

篠の母は、看病で泊まり込んでいた。

病を貰うといけない。と、

私と篠兄弟は、

篠の屋敷で、村の者が交代で世話をしてくれていた。

世話に来てくれた者の子どもも一緒だ。


篠の屋敷に泊まったのは初めてだった。

母が心配で、不安な気持ちも多少はあったが、

はしゃぎすぎて、私たちは夜が更けても

なかなか眠れずにいた。


隣の部屋から大人たちの話し声がする。

雨の音が心地良い。

ようやく、うつらうつらしていた。


篠が、身体をゆする。

”厠へ行く。”

・・・。

しかたがない、静かに部屋を出て、外の厠へ。

用を足して、部屋へ戻る。


まだ、本家の灯はついている。


大人たちの話し声がする。

”ささ”を正妻に据えてはどうか?と、聞こえた。


しっかり聞いたが、

聞こえていない振りをした。

篠は、どうだったのだろう。

すぐに、布団にもぐって目を閉じた。


”ささ”とは、篠の母の事だ。


篠と私は、年が同じだ。

篠の方が、ひと月程、早く産まれている。

弟の音は、まったく武に向かない優男だ。


家督争いの火種になりうるのは、

自分だと悟ったのだろか?

母が、志乃武家を追い出されると

心配したのだろうか?


”生きていて欲しい。”


早く篠を呼び戻したい。

もうすぐだ。

元服したらすぐに父に進言する。


生きていれば、

冬までには、

一旦志乃武の村に帰ってくるはずだ。

・・・。


逃がさない様に 篠に嫁でも娶れば…。

ささ殿に相談してみよう。


また、皆で一緒に過ごしたい。


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