必殺技?
ここ数か月、午前は家の手伝い、午後時間があればダンジョン、夕方になったら村長のところで火の魔法の特訓というのが日課になった。
そうそう、ジズという熱くない火を吐く魔物だが、俺もできるようになった。
熱くなるなと念じながら火の魔法を使い続けたらなんかコツがわかった。逆に光るなと念じながら火の魔法使っても光るのを遅らせることはできるが、どうやっても最終的に炎が出る。残念。無色の炎を出したかった。でもこれはこれで使い道があるし、おかげでジズ狩りは楽勝になったので良しとする。
ほかにも火の魔法の範囲を狭めたり広げたり、空気以外に火の魔法をかけたりいろいろやってみた結果、ついに新技を、必殺技を身につけた。身につけてしまった。いくつか紹介しよう。
一つは「フラッシュ」目くらましの魔法で、熱のない強力な光が出るだけの魔法だ。
…必殺技ではないな。
もう一つは「カウンターファイア」光るなと念じた火の魔法を光るギリギリまで魔力をこめてセット。攻撃を食らうとそこから炎が出るという魔法だ。しかしこれは持続にも魔力を使うので、罠としては使えなくて、専ら盾にセットしてガードしたときに炎が出るようにしている。これも必殺ではない。しかしこの魔法を覚えたことで、今のおれの装備は鉈と小型盾がメインになっている。
さらには「ブースト」。これは俺の魔法というわけではなく村長から教えてもらった魔法で必殺技でも何でもないが、弱い火の魔法を体にかけると少し身体能力が上がるという魔法だ。
最後が本当に必殺技で「水色レーザー」だ。その名の通り水色の炎のレーザーだ。高温だ。通常火の魔法は熱を込めたら発火して火が現れるが、この炎は、熱くなる場所を限定することと、まだ熱くなるなと念じて魔力を送り続けて良い感じになったら開放することで高温の水色の炎をレーザー状に出す技だ。本当はユイの明るい水色の目の色に似た色だからユイレーザーにしたかったが、こんな物騒な魔法にユイの名前はふさわしくないので水色レーザーと命名した。
ただ、残念なことに一瞬なので、殺傷能力はほとんどない。水色は一瞬で焼き切るほどの火力ではないようだ。
ただ、この水色の炎が出せるようになったことで、真の必殺技に近づいているはずだ。
…と思う。まだまだ必殺技習得の道のりは長い。
いくつかの新技と将来の必殺技をご紹介したところで、今の悩みもご紹介しよう。
「おい、さっきから何ぶつぶつ言ってるんだ。さっさと構えろ。」
それはこいつ、明るい緑色の目をしたハイエルフ、アレンだ。
なぜか俺はこいつと模擬戦をすることになってしまった。これが今の悩みだ。
「なんで俺がお前と模擬戦なんかしないといけないんだ?」
「ソラ、まあそういうな。お前もちゃんと成長してるし、アレンも手加減してくれるだろ。」
「手加減なんかいらない。っていうか村長なんで模擬戦やれ派なんだよ。」
「いやぁ、なんかアレン怒ってるし、かといってイジメようってわけでもなさそうだし、お前も模擬戦やったら勉強になるだろ?ケガしてもなんとかしてやるし頑張ってみろよ。」
「みんなと一緒に学ばず、村長に余計な時間使わせてるんだ。俺より弱いなら特別扱いはやめてみんなと一緒に学べ。」
どういう思考回路だよ。学ばずじゃねえよ、学べずなんだっての。うぜぇ。
「わかった、アレン。魔法は?」
「エルフのお前と魔法ありだと勝負にならん。魔法なしだ。」
「…いや、聞いたの俺だけど、やっぱ魔法ありでやろう。」
こいつ、けちょんけちょんにしてやる。
「ソラ、ふざけてるのか?エルフがハイエルフに魔法ありで勝てるわけないだろ?」
「お前ら、もういいな。魔法あり。俺がやめと言ったらやめろ。」
「村長!?」
「アレン、ソラをなめすぎだ。そんなんじゃケガするぞ、それじゃ、はじめ!」
よしっ!いきなりくらわしてやる!!




