第14話 母の帰還、父の消える威厳
母さんが帰って来た。
兄達は12才を超え、そろそろ成人になる為王都に残して来たそうだ。成人は15才なので1番上の兄でも2年はあるし、卒業は16才だが、メイドも執事もあちらにいるから心配はいらないらしい。
「ただいま!レオ!」
母さんは俺を持ち上げ振り回す。
「お帰り母さん!」
「あぁ、お母様って言っていたのに母さんに昇格したのね!ふふっ、嬉しいわ!」
父さんと仲が深まっていたので口調はこれが染み付いてしまったが問題ないらしい。貴族としては問題だと思われるが。
そして俺をしばらく愛でた後おろす。
「ナナもリリアもただいま!」
「「お帰りなさい、ナルメアお義母様。」」
2人は笑顔で答える。
「うふふ、ナナもリリアも大きくなったわね!リリアは覚えていないと思うけどレオのお母さんよ!2人共これからも宜しくね。」
「「はい!」」
本当に公認みたいだ。
「ガルもルルもただいま!」
「お帰りメア。」
「お帰りなさいメア。」
後で分かった事だが、ルル母さんはナルメア母さんの幼なじみだそうだ。長生きの為あまり子孫を残さない種族の為、同じ時期に生まれた2人はより仲がいい。
ルル母さんが夫に先立たれ、変な貴族が寄り付かないように父の第二夫人として家に連れてきたそうだ。父さんの言い訳かもしれないが…。
そのためかは知らないが、ルル母さんは子を作らないとナルメア母さんに宣言したそうだ。ナルメア母さんは遠慮しなくていいと言ったが、ナナとリリアがいるからと言ったそうだ。
それでも行為は許していたのだろう、父さんの為に。夜更かししたとき隠密スキルを使い飲み物を盗りに行った時、強化した聴力に微かに声が聞こえたからな。風魔法で声が漏れないようにしても完全に消えるわけではないからな。
一通り迎えの挨拶は終わりいつも通りナナやリリアと訓練をしたり遊んだりする。
部屋で七並べをしていると母さんがくる。
「レオー入るわよー。」
「いいよー。」
母さんは部屋に入る。
「2人とも改めてレオの事宜しくね。それで買い物に…。?レオ、それは何?」
「ん?トランプだよ。色々遊べるんだ。」
「遊ぶ道具なの?数字や絵があるけど…、なんか見慣れない物が多いわね、レオの部屋。」
「その辺にあるのは大体玩具だよ。昔外で遊ぶとリリアが悲しい顔してたから作ったんだ。」
「もうっ!お兄ちゃんそんな昔の事忘れてよ!」
「ははっ、でも作って良かっただろう?みんなで遊べるようになったんだし。」
「むー、そうだけど…。」
「イチャイチャしてるところごめんね。レオ、今作ったって聞いたんだけど…。」
「イチャイチャて…。うん作ったよ。父さんにも見せたし楽しんでいたから、既にあるか、母さんも知ってるもんだと思ってたけど。最近も父さんとリバーシで勝負したし。」
「えっ?い、いつからこれはあるのかな?レオくん。」
「なんで敬語になったの?母さん。最初に作ったリバーシは4才の頃からあったよ。他のも半月から2ヶ月毎に作って増えて行ったよ?父さんに廃材や塗料と加工する為のやすりを用意してもらったんだけど…勝手にお金使っちゃったのがダメだった?ごめんなさい。母さん。」
「謝らなくていいのよ、レオ。あなたには怒っていないわ。それで遊び方教えて?母さんも一緒に遊びたいわ。」
には?
「うん、勿論いいよ母さん。いっぱい遊ぼう!いいよね?ナナ、リリア?」
「勿論よ!ルル母さんや父さんとはたまに遊んでいたし、ナルメアお義母様とも遊びたいわ。」
「お兄ちゃん、聞くまでもないよ。義母親と遊ぶのに許可なんて必要ないから!」
「じゃあまずは説明が簡単なリバーシから遊ぼう。」
そして夕食までに今あるおもちゃで遊び終わる。
1つの遊びが終わるたびに母さんが一瞬恐ろしいオーラを出していたのはきっと気のせいでは無いだろう。
全部のおもちゃを説明したからな。きっとこの国、もしかしたらこの世界ではない物かもしれない。
母さんも買い物は好きだろうし、王都では満足に買い物も出来なかったのではないだろうか?
うちの領地は税金が他の領地と比べて安いからな。まあ端っこの領地って理由もあるだろうが。
多分領地経営は順調だが、自由に使えるお金は少ないだろう。兄さん達の学費や王都での生活費もあるしな。
だがおもちゃが流行る、売れる事は聡明な母さんは直ぐに気がつく。商業神の加護持ちの俺がいるし、連れて行けば少しなら都合よく商談も進むだろう。
上手くいけば王都にいる間に臨時収入が入り、買い物も好きに出来た筈なのだ。
そしてその矛先は父さんに向かう。
…リビングに行ってから、夕食を食べ終わるまで母さんは笑顔だった。
ナナとリリアは気が付かない。ルル母さんは母さんが怒っていることに気がつくが、理由は分からないだろう。
ルル母さんとおもちゃで遊んだ事はあるが、父さんが商談をしていないとは思いもよらないだろう。
メイドや執事も少し驚いている。何故なら父さんが青い顔をして震えているからだ。
母さんが怒っている事は分かるので、リビングの端で待機しているメイド達は小声で何か話している。
聴力を無属性魔法の身体強化で強化して盗み聞きをする。
「…ぶんおもちゃの事じゃないかな?レオ様の部屋に行って遊んでたって聞いたし。」
「えっ?あれレオ様が作ったのって結構前よね?もしかして販売とかまだしてないの?」
「してないと思うわ。私たちはレオ様がくれたから自分で買う必要がないから気にも留めなかったけど、それらしき物が売られてるのは見た事ないもの。商談もしてないかも…。」
「あぁ…。それは中々まずいわね。あの様子だとレオ様も昔からあることは伝えたみたいだし…。王都のものは高いし、ナルメア様も買い物我慢してたんじゃないかしら?」
「ナルメア様もエルフで綺麗だけど、より美しくなりたいのは女性として当たり前だからね。もっと買い物が出来たかもしれなかった分怒りも大きいかもね。」
「そうね…。でもあのイケメンな旦那様もあんな顔するのね…。」
「えぇ…。顔色も悪いわね…。死んだ魚のようだわ。今晩は中々凄いことになりそうだから耳栓が必要かしら?」
…かなりの言われようである。株も下がったかもしれんな。
父さんもメイド達の会話を聞いていたのか俺に助けを求めるような視線を送る。
父さんそんな顔で見られても助けられないよ。父さんの落ち度だもの。まあ4才が作ったものなんて大したことが無いと思ったかもしれないだろうけど。
それにそんなに俺を見てたら…あっ、母さんが気がついた。
またオーラが濃くなった気がするな。さよなら父さん。今までの事は忘れないよ…。
その後いつも通り3人で風呂に入ろうとしたら母さん達も一緒に入る事になった。
中々眼福である。ルル母さんとは初めてだし、母さんとは久しぶりだ。
まだ身体が出来上がっていないので身体には現れないが、中々危なかったかもしれない。心を鎮める練習も取り入れるかな。
リビングで飲み物を飲んだ後、それぞれ寝るため部屋に別れる。母さんは父さんの部屋に向かったようだ。
父さんいつもより風呂長かったし、かなりビビっているんだろうな。訓練の時はあんなにカッコ良かったのに。
今日は夜聴力強化はやめておこう。怖いし。
次の日、父さんがげっそりしていた。




