一話 転生
俺の名前は魚坂ビン太、文武の才能を生まれ持った健全なる男子中学生である。何をやっても偏差値はトップクラスと言えるだろう。
―顔面偏差値以外は。
そう。ブスなのだ。
俺はブスだ。
生まれつきブサイクだ。
努力は、した。
イケメンになる努力だ。
だが無理だった。
そもそも顔のパーツ一つ一つにブス要素がある。
「お前は何をやっても駄目だ。」
天才の俺が唯一そう言われたのが、顔だった。
とても、屈辱的だ。
勉強や運動でなら大人顔負けの実力がだせるのに。結局、顔面負けの俺が何したところで勝った気がしない。
まぁ、そんな弱点と今後も末永く付き合っていくわけだが、俺には一つ、ささやかな夢があった。
恋愛をしてみたい。と。
とある日の朝、通学路の曲がり角での出来事だった。jkが飛び出して来て、俺と衝突した。俺は不可抗力にもの言えず、彼女に覆いかぶさった状態に転倒した。彼女は綺麗だった。そして俺は一目で恋に落ちた。
しかし彼女はというと、いきなりブスとぶつかって、ソイツが覆いかぶさってきたときたら、不快感極まりない。目の前から汚物を排除しようという衝動は理性をも破壊し、無意識下で俺を殺した。え?
激しい痛みと薄れゆく意識の中、俺は思った。
イケメンだったら、ラブコメが始まるのになぁ…俺が、俺がイケメンだったらなぁ。
気がついたら草むらに寝転がっていた。辺りは見渡す限り野原だった。
「おかしいな、死んだ筈なのにな、俺」
電線がない、建物もない。傷も傷あともない。ついでに服もない。やはりおかしい。そこへ、一人の変な身なりをした男性が通りかかった。
「あの!すいません、ここって日本ですよね。」
まず、どこの野原かが知りたかった。
「日本?なんだそれは。寝ぼけているのか青二才。目を覚まさせてやろう。」
男性は俺に手をかざして、呪文の様なものを詠唱した。すると大量の水が彼の手から勢いよく、俺の顔めがけて飛び出してきた。呪文の様なもの、ではなく本物の呪文だったのだ。俺は正面から食らって、後ろへ吹っ飛んだ。
「何をするんですか!」
「何って?お前のその顔が気に食わなかったんだよ!」
「はぁ。はいはいすいませんねぇブスで…」
俺は先程放たれた水が溜まった水面を見て、驚愕した。
「!?イケメンになってるぅぅぅぁぁぁ!」




