表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノクロームの花  作者: 水無月波瑠
プロローグ
1/12

人生には単一の色がある


芸術のパレットと同じ様に、その色は人生と芸術の意味を与えてくれる


それは愛という色だ


       フランス画家 マルク・シャガール






 ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。電車の揺れで目を覚ました成瀬は降りる駅を過ぎていないか外を確認した。すると、夏の日差しが目に食い込む様に入ってくる。目を覚ました直後なのでなおさらだ。

 目にこびりついた光を取るため目をぱちぱちさせていると、車掌の声が聞こえてきた。それによると目的地にはまだ時間がかかるらしい。

 成瀬は、実家に帰る途中だった。お盆に入る前、久しぶりに幼馴染から一通の電話を受け、頼まれごとをされたのだ。お盆に入ることだし母にもあっておきたい。

そういうことで12日の早朝に乗り始めたわけだが、その頃そこそこ人がいた車内もいまは「がら」がつくほど空いている。それどころか乗っているのは車掌と成瀬だけであった。まだ昼を回ってないのにおかしいこともあるもんだと考えた成瀬だったが、そうおかしくもないかと思い携帯電話を取り出し眺め始めた。

携帯からの光も眩しいはずだが、さっきの光とはどこかちがう眩しさだった。

 仕事の上司、同僚はたまた後輩からいくつかメールが来ているが、せっかくの休日にも仕事のことを考えたくない、それでも見てしまったものに無視は良くないと思ってついメールを返してしまう。よしこれっきりだ。後はメールが来てもお盆明けまではないこととする。心の中でそう誓い、少し笑みを浮かべてみる。

 笑顔は得意だ。もちろん嘘じゃない。面白いことに対しては笑うし、幸せと感じれば自然に笑顔が出てしまう。笑顔が素敵だと言われたこともある。

しかし今と昔の自分は、決定的な違いがある。昔は素敵な笑顔に対して、悲しいことがあれば落ち込んだ顔になるし、嫌なことがあればむすっとしてしまうこともあった。今はそういうことがあっても笑顔を無理に作ってしまう。いや、自然と出る様になってしまったといってもいいだろう。つまりはいわゆる愛想というやつである。最近は、これはどっちの笑顔なんだろうと、一瞬だが迷ってしまったこともあったなと思い返す。

メールを返信してしばらくすると目的地についた。成瀬は降りる時、車掌に一礼でもしようと顔を見ると

 「兄ちゃん、顔色少し悪いけど大丈夫?今日は特に暑いからねえ、ちゃんと水分補給とりなよ」

と言ってくれたが、そんなに体調不良というわけでもなかったので驚いた。

あまりに心配そうにしてるので「ありがとうございます」と言ってすぐ降りた。

駅は都会の様な人混みはなくスッキリしていた。

車掌の言葉を思い出す。喉は乾いていたので、駅の自販機でお茶でも飲もうとお金を入れようとしたが、本当に疲れていたのか100円玉を1枚落としてしまった。そして不幸にも自販機の下に入ってしまった。それも結構奥に・・・・・・











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ