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19話 適性

「さて、意味不明な適性があるからな。少し調べておこう」

「……ん」



 ここはオストロの鈴亭の一室。そこでタクは宣言通りに自分たちの適性を調べてみることにした。



「まずはフィムからだな。〔体術〕と〔双刀〕はなんとなく分かるから〔補佐〕についてか」



 タクが〔補佐〕をタッチするとプレートの表示が変更されて、〔補佐〕の説明だけになった。ご丁寧なことに左下に“戻る”と書いてあった。これをタッチすれば戻れるのだろう。タクのやる気が削れた。なんで異世界に来てまでスマホを見なければならないのか、と。


〔補佐〕

 誰かの援護が得意な才能。組んでいる相手の考えがなんとなく分かるようになる。相手を信頼していればしているほど効果が上がる。



「別に驚くほどの効果はなさそうだな。俺の考えがフィムに筒抜けな可能性があるが……まあいいだろ。次は〔聖〕だな」



〔聖〕

 魔法属性の1つ。上級属性〔光〕〔焔〕〔癒〕の複合最上級属性。



「なにこのチート。というかフィムも〔癒〕は持ってたんだな…ん? 上級属性・・・・? じゃあこれも元となる何かしらがあるのか?」



 タクは気になったので〔癒〕をタッチしてみた。


〔癒〕

 上級属性。回復系中級属性〔治〕の上位。なお、回復系統に下級属性は存在しない。



「………………」



 タクは黙って〔光〕と〔焔〕もタッチしてみた。


〔光〕

 上級属性。下級・中級属性は存在しない。アンデッド類に効果大。


〔焔〕

 上級属性。火炎系中級属性〔炎〕の上位。効果は敵の耐性による。



「……フィム」

「……? ますた、どうだった?」

「お前は凄いよ。将来は絶対に強くなる」

「……ほんとに?」

「ああ。間違いない。ちゃんと鍛えればな」

「……ん! がんばる」

「よし。じゃあ俺のも見てみるか。嫌な予感しかしないけどな」



 嫌だからと言って見ないという選択肢はない。自らの武器を確認しないほどタクは馬鹿ではないのだから。


〔暗殺〕

 戦闘系最上級複合技能。〔体術〕〔隠密〕〔殺人術〕〔夜目〕を一定レベルで習得していることが条件。


〔空〕

 古代魔法属性の1つ。時空属性の陽。


〔速〕

 古代魔法属性の1つ。物体の速さを操ることができる。


 〔遊撃〕と〔対集団〕は想像できるから飛ばしたらしい。



「余計に意味わからなくなった……古代魔法属性って何? 時空属性はなんでバラバラになってんの? 最後に……なんでこのプレートにはそんな情報まで記録されてんだ?」



 もう考えることが嫌になってきたタク。知らないことが多すぎてどこから手を付ければいいのか分からないのだ。

 それと、タクは知らないことだがステータスプレートは魔力結晶体という特殊な物質でできている。まあそのままの意味で高密度の魔力が結晶化しただけなのだが、そこにあの聖唱が加わることである変化が起こる。それは“魔力に記録されている事柄を引き出せるようになる”というものだ。

 この世界では魔力に膨大な情報が刻まれていると長年信じられていた。それが理論的に解明されたのが今から800年ほど前。その理論は正しかったようで、魔力結晶体であるステータスプレートにはありえないほどの情報が入っているのだ。だからこそ古代魔法属性なんていうものの解説も記載されている。



「はぁ……疲れる。もうあれだ、考えても仕方ないことは考えないようにしよう。今は大進行だけを見ていればいいんだ、うん」

「……ますた、げんきだして」

「まさかお前に慰められる日が来るとはな」

「……げんきじゃないと、ごはんつくれない」

「打算かよ……」



 どこまで行ってもフィムはフィムだった。そんなマイペースを体現したかのようなフィムを見ていて、ふとタクは気になったことを聞いてみた。



「そういやお前ってなんかの病気じゃなかったのか? 全然そういう風には見えないけど」

「……? フィムはげんき」

「は? じゃあなんで昼間から寝込んでたんだよ? 奴隷ギルドあそこにいた時は弱ってたよな?」

「……ごはんがすくなかった」

「……ゴメンもう1回」

「……ごはんがすくなかった。だからげんきもなくなった」

「嘘だろおい」



 衝撃の事実だった。弱っていたのはただ単に空腹なだけだったのだ。

 たしかに奴隷の管理のために4人前も5人前も出せるわけがない。だけど、それでこんなチートを半額にしたあのハイテンションが哀れだった。まあ今さら返すという選択肢はタクの中に存在していないのだが。



「…もう過ぎたことだ。忘れよう」

「……ん。ますたのごはん、おいしい」

「味のことじゃねぇよ。てか不味かったのか」

「……なんか……ごりごりしてた」

「何食ったんだよ……しかも味じゃないし……」



 こんな何の得にもならないことを話した後に、鉄貨1枚で厨房を、さらに鉄貨1枚で調味料を借りて(この世界の調味料は塩と香草以外がやたらと高い)、またフィムは幸せになるのだった。


 その日の夜。



「明日は街から出るけど…フィムはどうする?」

「……?」

「あー……ここで留守番するか、一緒に危険な場所まで行くか。どっちがいい?」

「……いっしょにいく。フィムもまほーがんばる」

「そうか。途中で帰ったりは出来ないからな?」

「……ん」

「よし! じゃあ今日は早めに寝るか」

「……おやすみなさい、ますた」

「ああ、おやすみ」



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