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洞察

 私は麦茶の入ったコーヒーカップを手に、そわそわとしていた。

 周りをキョロキョロと見回すと、目に入ってくるのは見たことのない外国人のポスター、トレーニング法が載っているであろう雑誌。他にも寄せ書きの書かれた小さなサッカーボール。

 やっぱり隼人はサッカーが好きなのだと改めて思った。

 今、私が居るのは隼人の部屋。恋人同士という関係になってからこの部屋に来るのは初めてだ。昔はよく遊びに来てたのに、小学校を卒業してからめっきり来なくなった。

 そういえば前に遊びに来たのはいつだったっけ――。

 記憶をたどっていた時、ガチャリと音を立ててドアが開いた。

「わりぃ、今菓子コレしかなくて」

 申し訳なさそうに隼人が手にしていたのは封の開いていたおせんべいだった。その様子が何だか面白くて私は思わず噴き出した。

「いいっていいって! 隼人に気を使われたらなんか緊張するし」

 ただ、笑いながらも頭をよぎるのはすずらんちゃんの言葉。隼人の部屋に来て、さらに現実を突きつけられた気分だ。

 隼人の事はどうしてもあきらめられず、かといってすずらんちゃんに返す言葉もなく私は逃げ出し、今日まですずらんちゃんとは口をきかなかった。それどころか目も合わせないように気を付けていたくらいだ。

「――九条に何か言われたのか?」

 抜き身の真剣を突き付けられたかのような気分だった。顔は笑ったままこわばり、目だけが見開かれる。

「ど……」

 どうして、と言いかけて思いとどまる。

「そんなの詩織の顔見りゃ分かるって。何かあったんだろ?」

 隼人は私が思っていたよりも私の事を見抜いていた。

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