親交-鮮やかな閃き-3
「席順は成績順になっています。」
教室の扉を開き、教室の中に促すとアナスタシアは素直に歩みを進めた。
教壇へ進みながら周囲へと視線を向けている。
アナスタシアの視線の動きすら、興味深かった。
ゆっくり歩きながら教室を見渡しているアナスタシアを横目に置きつつ、レイチェルは教室の1番奥の窓際の席に手を添える。先刻ぶりの自分の席だ。
「こちらが、私の席です。」
周囲を巡っていたアナスタシアの瞳が、呼びかけに反応してこちらに向く。指をすっと立てると
「つまり、アッシュフォード様は成績が良い、と。」
「……まあ」
あまりにも自然に言われ、レイチェルは目を瞬かせた。
「どうしてそう思われたのですか?」
「成績順なので、端に席があると言うことは、良いか悪いか、どちらかで突出しているということ。貴女は教師と信頼関係があるから成績が悪いとは思えない。・・・首席?」
「あら、まぁ。うふふ。」
レイチェルは柔らかく微笑んだ。
「正解かな。」
アナスタシアが近寄ってくる。無表情ではあるものの、どこか答えを待つ子供のように感じた。
「あら、問いかけで私の反応を確かめてらしたのね。」
「昨夜のパーティで、貴女のことを『完璧な淑女』だと評価する声がよく聞こえた。完璧と言われるくらいだから、首席だろうと」
「レイチェルと。」
「え?」
唐突な言葉にアナスタシアが足を止める。
有無を言わせぬ態度は、レイチェル自身初めて取るものだった。
まだ名前のない宝石を見つけたような気持ちになる。
こんなにも心を惹かれる存在が、すぐ目の前にいる。
多少強引になってしまっても、彼女のみている世界を見てみたいと思った。
「私のことは、どうぞ、レイチェルと呼んでくださいな」
「レイチェル・・・様」
「ただ、レイチェルと。」
アナスタシアは小さく瞬きをした。そして、ほんの少しだけ口元の力が抜けたようだった。
「レイチェル」
確かめるように呟かれた声に、レイチェルは一層笑みを深くした。




