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ページ5 あなたの気持には応えられないわ

 オレは佐伯さんを助けるつもりでモンスターと戦い腕を負傷した。

 あまり痛みもなかったことから、対して気にも止めずにそのまま二人で街中をランデブーした結果、出血多量で気を失ったのである。


「ほんとかっこ悪……」


 佐伯さんって何気にスペック高いと思う。

 全力で走っても全然追いつかなかったし。


 昔はオレも両手両足に重りを付けて、本気出してない感アピールしながら鍛えてたから、今よりは幾分かマシだったと思う。


 一人落ち込んでいると、突然隣のベッドから声が飛んできた。


「おい、そこで鼻の下を長くしている坊主」


「えちょ!? 誰が童貞顔の童貞だって!?」


 見ると右足をギブスで固定され、額に包帯を巻き付けた厳つい工事現場のおっちゃん風の男がギロリとこっちを睨んでいた。


「そ、そこまで言ってねえよ」


 若干引き気味である。


「いいか坊主。女ってぇのはな、ああ見えてずっと(したた)かなもんだ。守ってるつもりで気付けばいつも守られているのはてめぇの方だ。だからこそ、感謝の気持ちを忘れちゃあならねぇ。覚えておきな」


 先程の会話から何か察したのかもしれない。

 聞き耳を立てた挙句余計なお節介と突っぱねることは簡単である。


 でもオレは、どすの利いた声音や外見とは裏腹に、そのつぶらな瞳から慈愛のような優しさを感じた。


「……はい」


 確かにそうだ。

 佐伯さんが初めから逃げていれば、オレなんてお呼びじゃなかった。

 最終的に止めを刺したのも彼女だ。


 その上、意識を失ったオレを運んでくれ看病までしてくれたのだ。

 それに比べオレときたら、無策に特攻し、勝手に死にかけた。


 最高に笑える。


 オレはもっと彼女に対して感謝すべきなのかもしれない。

 暗にそう言われた気がした。


 おっちゃんも誰かを庇ってケガをしたのだろうか。

 そんなこと考えていると、丁度戻ってきたらしい女性が呆れたように言った。


「なぁにバカなことを言ってるんだい。あんたは私を置いて慌てて一人で逃げようとして階段から転げ落ちただけだろう? まったくこれじゃ仕事もできやしないじゃないか」


「いてっ。おい、ケガしてるんだから頭を叩くなって、ハゲたらどうすんだ」


「そんなの私がしるもんかい」


 おっちゃん、感謝の気持ちはどこいった……。


 微笑ましい光景から目を逸らし、一考。

 それにしてもここはどこだろう。


 体育館のようにとてもだだっ広い空間。

 建物を支える剥き出しのパイプ群が殺伐とした雰囲気を醸し出している。


 カーテンや仕切りなどもなく、所狭しと並べられたベッドの上に痛々しく横たわる重症患者達、そのベッドを縫うように看護婦さん達が血液の如く循環している。


 ただ病室と呼ぶには些かベッドの数が多過ぎる。

 その数、優に百を超えているのではないだろうか。

 こんな光景、震災時のテレビやネットのニュースでしか見たことがない。


 佐伯さんはオレが一日以上も眠っていたと言っていた。


 何らかの震災や大事故が起きた可能性もあるにはあるのだが、どうにも脳裏からはあの強烈な殺気を放つゴブリンの姿が離れてくれない。


 奴らは一体何だったのだろうか。

 答えを知ってそうな大人といえば、今も隣のベッドで口論を続けている。

 喧嘩するほど仲がいいって言うしね。

 やっぱり平和が一番だよ。


「あとで佐伯さんに聞こう」






  ◆ ◇ ◆






「沙希さぁ~ん、目を覚ましたのでお願いしますっ」


「あら、やっと起きたのね。なぁに~? 目を覚ました途端佐伯ちゃんをこんなに元気にするなんて、一体どんな子なのよ」


「えっ、わたしそんなに暗かったですか?」


「そりゃあもうこの世の終わりみたいな顔してたわよ。付きっきりで彼氏の看病した甲斐があったわね」


「かっ、彼氏……」


「あら、違うの?」


「あっ。ていうかわたし、ただのクラスメイトって言いましたよね!?」


「でも私のお膳立ては役に立ったでしょ?」


「うぐっ、楽しんでた癖に~……」


「あの後どうなったか気になってたのよね。今から休憩だから、ささっ、あっちでお姉さんとお話しましょ」


「あ、ちょ、どこ触って……」


「いいからいいからっ♪」


 ──二十分後。


「はぁい、身体に痛みやおかしなところはない? あ、お姉さんに一目惚れして心が痛いとかはナシよ。ごめんなさいね、年下に興味ないの。あなたの気持には応えられないわ」


 開口一番、オレは人生初の告白を前に黒星を頂きました。やったぜ!

 誰も得をしない上にオレの心が抉られる酷い攻撃だった。


「だ、大丈夫です……」


「ふふっ、まずは自分の名前と年齢、それから好きな子を教えてくれるかな?」


「え、あ、はい。影山友人十五才。好きな子は~……って、言えるかあ!」


 どさくさに紛れて何言わせる気だよ。


「あら、今一瞬佐伯ちゃんを見たわね。好きな子を命懸けで怪物から護るなんて、やっぱり男の子ねぇ。うふふっ、若いっていいわ~。お姉さんも応援してるから頑張りなさいね!」


 すぐ後ろに居る佐伯さんが気まずそうに顔を逸らした件について。

 ちくしょう、この看護婦さん嫌いだっ!!

皆さん初めまして、影山友人です。(棒読)

この作品では、皆さんからの応援を心待ちにしております。


この作品が少しでも『面白い』、『続きが読みたい』と思って頂けたら、

作者のやる気に繋がりますので【評価】【ブックマーク】をお願いします。


え、やり直し? 気持ちがこもってない?

くそっ! こんなのやってられっか!

※意外と引きずるタイプです。

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