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戦況報告

目の前に広がるのは多くの書類の束と、


「お嬢様、紅茶です」


「ありがとう」


...うん、美味しいわね。


紅茶と二人の最高のメイドと部下。


「...で、今戦況はどんな感じかしら?」


「はい。現在エカチェリーナ様が倒れて3日経っている状態ですが...」


「国内貴族の鎮圧は終わっています。...何ですかあの男爵貴族の支援は...お嬢様が造らせている武器と同じ武器を全員持ってて更に撃つのが上手なんて...どんな者達ですか...」


...全部聞こえててるわよ、マーリン。まぁ、確かにそうよね。変な集団よね...

...あ、私が身元を証明して彼らを教官にして教育してもらえないかしら。ちょっと交渉しましょう。

...そういえば......


「ポルシュカはどうしたの...?」


「中立を保っている状態です。直ぐに鎮圧出来たので、反乱に乗じて攻め込む事が出来なかったので何も出来ていません」


「そう.........そういえばエウロパ各国は?」


「エウロパ各国はポルシュカ王国を除く国々が非難声明を出しています」


ならエウロパ各国が味方に付いたか、中立になったかのどっちか、ね。


「まぁ悪くない状況ね。ところでノスエウロパ同盟内で動きは?」


「スオミは行動を中止しましたがノレグ王国、スヴァリエ王国は継続させる線で動いている感じですね」


それは....


「先に攻められるのはスオミだからって余りにも露骨過ぎじゃないかしら...?」


もう怒りを通り越して呆れしか出てこないわね...


「......お嬢様、あえて良い機会かもしれません」


「え...?あえて良い機会って...ああ...!」


まさか...まさか、スオミをここでこっち側に引き摺り込む気...?!


「...貴女、正気?妹が居るのよ...?」


「だからこそ、です。スオミを上手く取り込めれば妹も助かります。正直屈辱以外の何ものでもありませんが...

それで助かるなら...」


その時黙っていたカメーネフが静かにこぼした...


「...まさか」


「...そのまさか、よ。条件付きで許すの。その代わり条件は出来る限り引き上げるわ」


「...では自治国化、ですか?」


「...そうね、それが良いでしょうね。今の状態で他の国のインフラ整備なんて地獄よ。まず国内のインフラ整備もやってないのに...」


...大日本帝国を見てみなさいよ。台湾を併合して、韓国を併合して、満州国を作って...そっちの方のインフラを優先して作り上げた結果戦中、戦後の国内インフラはズタボロ。


...と、言いたいところだけど鉄道網が生きてるからまだ行けたのよね。実際鉄道省(当時は省庁だったのよ)はアメリカ軍の暗号を『解読』し、戦闘機が偵察しに来るときには走らせず、偵察が終わったら全力で走らせたそうよ。

...因みに、爆撃、調査員...?っていう民間人が調べた終戦直後の日本の状況を纏めたレポートには、日本のインフラは全く破壊されておらず『本土決戦は可能であった』と、結論付けたそうよ。


...もうあの頃から充分変態だったって事ね。


...閑話休題。


「...つまりお荷物になる、という事ですね?」


「まぁ、そんな感じね。それに緩衝国に出来たら更に楽になるから」


「そうですね。...ではスオミを自治国化して国内インフラを最優先で揃える、という線で行きましょうか」


「ええ。じゃあカメーネフは各参議長に根回しを行って頂戴。私は陛下とお・・してくるわ」


「分かりました」


「あの、私は...」


「貴女は付いて来て頂戴。貴女の意見は私達の意見の何倍もの重みがあるのだからね、マーリン?」


「っ...はい!」


...さ、やらないとね...


ーーーーーー


...目の前には皇帝陛下、ゲオルギー・ヴァリアントヴィチ・ロマイエが座っている。


今、これからの事について説明中なのだけど...


「...ふむ。つまり今回は敢えて許してやり、スオミだけ自治国とすると」


「はい、陛下。ただ今回の真の目的はスオミをノスエウロパ同盟から抜けさせ、中立国にさせて緩衝国にする為です。勿論一番扱いやすいのは自治国ですが...」


「スオミ王国の国民性は自由奔放な感じですから統治は...という感じです」


「...マーリンがそう言うのならそうなのだろう。分かった、そうしよう」


「ありがとうございます」


「ただマーリンの言う通り自由奔放ならこちら側に振る事も厳しそうだが...」


「そうですね...やはり一度位は戦いを交えないと難しいかもしれませんね...」


「確か既に150万ミール消費していた筈だよな」


「はい、陛下。...あ、では私が魔法を...」


「...どんな魔法だ?」


...やっぱり一番衝撃的なのは...燃料気化爆弾...?


「説明しにくいのですが...その、ですね...空気がありますよね?私達の周りには」


「ああ、そうだな」


「...この空気を直径100ミル燃やします」


「...え?」


「...どういう事だ?」


「そのままの意味です。...100ミルの範囲の空気を燃やすのですが...」


「...で、何が起きるのだ?」


「...強い風が吹いて建物等が無くなって更地になります」


「さら、ち...だと?」


「はい...あるのは地面だけで他は何も無くなります」


「...本当に最後の手段だな」



「ええ...私も本来はこんなものは使いたくありませんから...あ、勿論人に向けては撃ちませんよ?そんな事をしたら...肉さえ残らないでしょうから...」


「...出来る限り使わないように、良いな?」


「もちろんです、陛下」


「...分かった、そうしよう。講和案作成と交渉を始めるように」


「分かりました」


ーーーーーー


...因みに気化爆弾は『人道的』な兵器らしいわ。何故?...痛みを長い間与えずに殺すから、らしいわ。


...人道的ってなんでしょうね。機関銃だって開発時は人道的な兵器として開発されているし...もう分からないわよ...


そんな事を考えながら私は赤の広間に着いた。


「...マーリン、行けるかしら?」


「私はいつでも大丈夫です」


「...では、戦闘開始よ」


私は赤の広間への扉を、開けた。

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