御茶会 ~女公爵、理想を語る~
「初めまして。私、ノヴゴロド伯の...」
...何度目かしら、こういうの。
この行為事態は問題ないのだけど...相手の表情が...
「初めまして。私、ゲオルギ教会名誉公爵のジョージア・ヨセフ・エカチェリーナよ。
よろしくお願いするわ?」
...まぁ、する気は無いのだけど。
......
やっと終わったわね。
...というか皆さん表情豊かで、ね...何とも言えないわ...
心の中で、苦笑いした...
「シャイデル...いえ、エカチェリーナ。今大丈夫かしら?」
っ...この声は...!
私は直ぐ後ろを向いた...
「久し振りね、エカチェリーナ。
あ、でもその名前では初めましてかしら?」
あぁ、私に微笑んでくださった...
って、それどころじゃないわ。
「わ、私の方から御挨拶に行けず申し訳ありません、オリガ様」
「大丈夫よ、エカチェリーナ。
...ところでこのあと空いてるかしら?」
あ、やっとお話会ね...良かった...
「はい、大丈夫かと思います」
「では行きましょう?」
「はい、分
「エカチェリーナ様!」まし、た...?
...誰かしら?」
私は声の聞こえた方向を向いた。
「あ...」
「あ...?」
「...申し訳ありませんでした!失礼
「待って!」す...?
な、何ですか...?エカチェリーナ様」
私はつい呼び止めた。
この場にこんな娘が居るなんて思わなかったから...
「こっちに来て頂戴?」
「は、はい...」
カツコツカツコツカツコツ...
歩いてくる彼女は元から小さいけど更に小さく見えた...
年齢は13歳位かしら...
「申し訳ありません、オリガ様。私つい...」
「大丈夫よ。
...ところで何で呼び止めたの?」
「彼女とはまだ話をしてないので...
少し時間をくださいませんか?」
「...はぁ、分かったわ。
...ただ、早くね?あの子達も待ってるから...」
「分かりました...」
...多分気付いていないと思うけど一瞬嫉妬した顔になってたわね...本当に可愛いわ。
「いきなり失礼します」
私の目の前にいきなり令嬢が出てきた。
私は話を遮ってきた令嬢に怒りを覚えたけど、顔に出さず対応した。
「貴女は確か...アレクセイ侯爵の...」
「質問させてください」
いきなり出てきて質問ね...良い度胸してるわね...
「...何かしら?」
「貴女は何故オリガ様を優先せずにこんな小娘を優先するのですか?」
「...こんな小娘は失礼よ。今すぐ訂正しなさい」
「...何故ですか?こんな男爵の小娘に」
「訂正しなさい。彼女も貴族の末席に位置する者よ。その彼女を侮辱する事は、陛下を、神を侮辱するのと同じ事」
...あれ?騎士や召使いが反応したかしら...?
「くっ...分かりましたわ...」
「それで、何故オリガ様ではなく、男爵令嬢を優先したか、かしら?」
「はい、エカチェリーナ様」
「...決まっているわ。彼女も大事な一人の臣民だからよ」
「...それはつまり皇族を侮辱するお言葉なのでは?」
「...君主は国家第一の僕」
「...はい?」
「君主は国家第一の僕よ」
「あの、意味が全く...」
「...貴女は陛下の何を理解して生きているのかしら?」
「...え?何を...」
「...畏れ多くも!」
...あ、これ有効なの...?
騎士や召使い。それに子爵、男爵級の令嬢達が直立不動になってる...
「畏れ多くも、私は陛下よりこの地位を戴いているわ。
この帝国を、臣民の生活を陛下と共に良くする為に...
意味、分かるわね?」
「...」
「...さ、来なさい?」
私が去る際、騎士や召使いが頭を下げた様な気がした...
......
「本っ当にごめんなさい!」
私は全力でオリガと男爵令嬢に謝った。
「だ、大丈夫よ。
それに嬉しかったわ...お父様...ううん、陛下の気持ちを理解してくれる人が居るなんて...
そしてその理解者が貴女、エカチェリーナだなんて...」
「そ、そんな事仰らないでください...」
「ううん、本当に嬉しかったもの...」
「...お二人とも仲が良いのですね」
「「あ...」」
...どう言い訳しようかしら...うーん...
「...ここだけの話よ?」
「は、はい...」
え...オリガ?まさか...
「...実は、エカチェリーナは私の従姉妹なの」
「...へぇ、そうなんですね。
...って、ええ?!」
「そしてエカチェリーナは私のお姉様」
...オリガ...はぁ...
「まぁ、ね...皆良い子達よ...
あ、オリガ?ジョージアで良いわよ?私は」
「分かりました、お姉様」
「...凄いですね」
「...で、話したかった事は何かしら?」
「あ...す、すいません...
私はぺルミ男爵の長女、ロージナ・アウグスタ・ぺルミと言います、エカチェリーナ様」
...ロージナ...?まさか...
「...貴女のお父様はどんな方かしら?」
「お姉様、先に自己紹介を...」
「あ、ごめんなさい...
私はゲオルギ教会名誉公爵領主、ジョージア・ヨセフ・エカチェリーナよ。
よろしくお願いするわ?」
...あれ?ロージナちゃん固まった...?
「はっ...す、すいません!エカチェリーナ様が領主と知って、つい頭が真っ白になってしまいました...」
「仕方無いわよ...それこそただの小娘が領主やってるのよ?
信じられないのも当然よ...」
「...お姉様は最初皇女として来たのだけど...何があったのか皇女から臣籍降下で家を立てられたわ。
...因みに何故お姉様が領主なのかは...」
「良いわよ、説明して」
いつか分かる筈だから、ね...
「...お姉様は元々トゥール王国の公爵令嬢だったけど国を追われて...お父様とお兄様は私を逃がす際に戦死。
お母様はそれが衝撃的過ぎて療養に入っていらっしゃるみたい...
それでお姉様は陛下に叙位されて、封土されたわ」
...私の人生も色々あったわね...
「...し」
し...?
「失礼しました!
公爵令嬢ならまだしも公爵領主様だなんて...
本当に失礼しました...!」
「あぁ...大丈夫よ大丈夫。
私は気にしてないから...」
「でも...それじゃ...」
「...じゃあ貴女のお父様の話をしてくれるかしら?
これで帳消しだから」
「......分かりました。
それでよろしいのであれば...」
「うん、お願いするわ」
「...お父様は元々公国の騎士の家系でした。
今から23年前、陛下が立ち上がった時、お父様も一緒にお立ちになったそうです。
その時相当奮闘して、敵の幹部を討ち取りました。
そしてその時の功績で陛下からぺルミ領に男爵として封されました。
それから6年後、父は商人の娘、つまりお母様と結婚なされ、その4年後私が長女として生まれたのです。
そしてその5年後には弟が生まれました。
...結構辺境な土地ですがお母様の弟様が来て商業ギルドを開設して、発展しています」
「...ロジーナ」
「...え?」
「...貴女本当は『ロジーナ』って名前じゃないかしら?」
「えぇ?ありえませんよ、お姉様。そんな言葉この国には...」
「...」
目が一瞬揺らいだわね...
「本当の事を教えてくれるかしら?」
「お姉様、流石に失礼d」
「......はい。私の本当の名前はロジーナ・アウグスタ・ペルミと申します、エカチェリーナ様」
「え...?嘘...」
「やっぱり...貴女のお父様、アレクセーエヴナ家の出身かしら?
...それともアンハルト=ツェルプスト家の傍流家出身かしら?」
「っ...!」
完全に動揺したわね...
「答えて頂戴?ロジーナ」
「......アレクセーエヴナ家の出身...で、す...」
っ...!
私はつい彼女を抱き締めた...
「良く生き残れたわね、ロジーナ...」
「あの、お姉様?ロジーナってどういう意味で...」
「...故郷、又は『祖国』を表す言葉よ」
「!!...それは...」
「...何故分かるのですか?『Τоварищ』(同志)」
「...それは秘密よ」
「...お姉様?タヴァーリッシ?とはどういう...」
「はっ...?」
まさか...
「...Вы очень хорошо говорите по-русски.(...ロシア語が上手ね)」
「Спасибо. (ありがとう。)Вы откуда?(どこの出身ですか?)」
「молча.(黙って)」
「Почему?(何故?)」
「убить.(殺すわよ)」
私は威圧しながら言った。
「...Действительно жаль.(本当にごめんなさい)」
「...はぁ、そういう事なのね」
お父様、ソ連軍人でこちらに残った人みたいね...
「...」
「...お、お姉様?今のは...」
「ああ、暗号よ暗号」
「暗号、ですか...?」
「ええ、そうよ」
「...そう、ですか」
「...ロジーナ」
「...はい」
「後日貴女のお父様を呼ぶわ。その件を伝えておいて頂戴」
「っ...!...はい、分かりました」
「...あとは手紙で話しましょう?...意味、分かるわね?」
「はい」
「じゃあ下がって。勿論今日の話は」
「はい、分かりました」
「うん、それじゃあ...」
ヒュー...パタン...
「...すいません」
「大丈夫。あ、じゃあ弟達を連れて来るわ。待ってて?」
「あ、はい...」
...いつも通りね。
遅くなってごめんなさい...!
...ガラケーじゃ打ち込むのが面倒だから遅くなってるの...
...本当にごめんなさい...
誰かスマホ頂戴...?ね...?




