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試射 ~公爵令嬢、銃を使う~

「...はぁ、今日も書類が...」


コンコン!


こんな時に誰よ...


「何かしら...?」

「お姉様、報告が...」


っ...!この声は...!


「オリガ?!」

「はい、お姉様」

「入って良いわよ、今すぐ!」

「ありがとうございます」


ガチャ...


「久し振りです、お姉様」

「うん、久し振り!今日はいきなりどうしたの...ですか?オリガ様」


...皇族だったの忘れてたぁ...


「...敬語をやめて下さい、お姉様。私は年下ですよ...?」

「ですがオリガ様は皇族...」

「お姉様も傍流です...」

「ですが...」

「お姉様...」

「...分かったわ」


「お姉様...!」

「...ただ」

「ただ...?」

「皆が居るところでは敬語で話すわ、良い?」

「はい!」


...本当に可愛いわね、オリガ...


「...で、えっと、今日はどうしたの?オリガ」

「あ、そうでした。えっと、あの細長い筒と、小さい筒?の武器の試作が出来ました」


っ...!


「それ本当...?!」

「は、はい。ただ...」


ただ...?


「どうやって使うのか...」

「あぁ...分かったわ、ちょっと演習場に持って来て頂戴」

「分かりました」


......


帝国軍第二(魔法)演習場


「隊長さん、ごめんなさいね...?」

「いえいえ。新しい武器の試し作業ですから」

「ありがとう」

「お姉様、こちらです」

「ええ」


私はオリガから細長い筒―モシンナガンを受け取った。


「...弾は?」

「...弾、ですか?」

「...ええ。一緒に付属していた先端が円錐形で後ろの方が円筒状の...」

「あ、あれですか...今お待ちを...」


...嫌な予感がするわね...まさか錆びてて使えないとか...


「...こちらです」


うん、見事に錆びてるわね...まぁ当たり前よね...20年も前のなんだから...


「ちょっと待ってね...」

私はクリップ付きの弾を受け取った...


「...El Me Create...」


私はそのまま錆び無しのクリップ付きの弾を作った。

「...え?お、お姉様...?」

「ん、ちゃんと5発入ってるわね...」


さてと...コッキングハンドルを回して引いて...装弾クリップを押し込む!

後は戻すだけ...


「...え?ええ...?」


私は引き金を引いた...


ターン!


「ぐうぅ...!」

「お、お姉様?!」

「大丈夫よ、オリガ...大丈夫だから...」

「...分かりました」


やっぱり立って撃つものじゃないわね...肩が外れそう...


「...誰か要らない鎧は無いかしら?」

「こちらに...」

「じゃあ...あの土の盛られてるところに置いてきて...?」

「分かりました」


...


「出来ました」

「じゃあちょっと離れてて頂戴ね...?」


今度こそ...


しゃがんで...装填して...撃つ...!


ターン!


そう...てんっ!


ターン!


......


はぁ...爽快ね!

...やっぱり7.62mmは反動があるわね...まぁ単発だからまだマシでしょうけど...


「鎧を取ってきて頂戴」

「分かりました」


...さ、どの位驚くかしら?


「...はぁっ?!」


...結構驚いてくれたわね。まぁ上々ね。


「きょ、教官...これは...」


...バラバラだけどちゃんと4発共命中してるわね...良かった...


「これがこの武器の威力よ。これを私の私兵に使わせて、教官が出来るようになったら貴方達にも教育して、使って貰うわ。

良いかしら?」

「「了解しました!」」


さ、ナガンリボルバーの方はどうかしら...?


......


...優秀ね。


「オリガ。この二つは合格よ、量産して頂戴」

「お姉様、何をする気で...」

「...あくまで祖国を守る為よ。ある人は言ったわ。

『百年兵を養うは、ただ平和を守るためである。』って...」

「...それなら分かりました」


...ごめんなさい。私は公人でもあるから...嫌われる覚悟は出来てるわ...


「...多分この技術力なら少し精度が落ちても大丈夫ね。弾薬の作り方も後で書類で送付しておくわ、お願いね」

「え、あ...お、お姉様...?」

「...何?オリガ」

「一緒にお茶でも...」

「でも仕事が...」

「そ、そうですよね...すいません...」


あぁ...そんな悲しい顔しないでよ...


「...ううん、良いわよ。そうしましょう...?」

「っ...ありがとう、お姉様...」


...


応接間


「最近どうかしら?オリガ」

「私は元気です。ただ...忙しくて、目が回りそうですね...」

「...ごめんなさい、オリガ」

「大丈夫、です...余りにも暇でしたので暇潰しになりましたから...」

「そう...」

「...お姉様?」

「ん...何?オリガ」

「...公務でお忙しいとは思いますが、時には私達にも姿を見せて下さい...」

「...そうね。流石にナターシャが寂しがってるわよね...」

「...お姉様?体の体調は魔法で良くしても...ストレスだけはどうにも出来ません。ですから...」

「...そんなにストレス溜まっているように見える...?」

「はい、相当...」

「...何で分かるの?」

「...マーリンさん?手鏡はある...?」

「呼び捨てで大丈夫です、オリガ様」

「そう...?ならそうするわ」

「はい。...お嬢様、顔をご覧ください」


顔がどうしたのよ...


私は手鏡を受け取って、顔を見た。


「...うわぁ...」


物凄い悪女顔に戻ってるわね...


「...でも、懐かしいわね、この顔。確か婚約破棄される直前までの顔だったかしら...」

「...え?」

「成程ね...ストレスや負荷が相当掛かるとこの顔になっちゃうのね...

ありがとう、教えてくれて」

「い、いえ...って、お姉様婚約破棄された事...」

「ええ。こっちに嫁ぎに来る約十日前よ...トゥール王国の第一皇太子と婚約していたわ」

「...凄いですね」

「...これでも元公爵令嬢よ、私。...まぁ途中から皇太子が私から農民の娘に愛情を掛けるようになったの...」

「...農民の娘に、ですか...?」

「...多分皇太子自体が自由を求めていたのかもしれないわね...」

「え...?」

「今思えば自由奔放な人だったわ...確かに礼儀で固められてる私より、あの娘の方が幸せだったかもしれないわね...」

「...ですがそのお蔭で皇太子は王位継承権を剥奪されましたね...」

「...それ本当?マーリン」

「はい。流石に王族離脱は出来なかったようですが...」

「...そう。マーリン、手紙と弓矢と馬を用意して頂戴。彼に送るわ」

「...え?何故ですか...?」

「私にも責任があるわ」

「でも...お姉様は...」

「...それにもし婚約破棄がなきゃ、貴女達にも会えてないのよ...?」

「「...あっ...」」

「確かに私は彼のせいでお父様、お兄様も失ったわ...でも、貴女達に会えたのも...彼のお陰だから...」

「...分かりました、用意しておきます」

「ありがとう、マーリン...」

「...お姉様?もう私は失礼した方がよろしいですか...?」

「...まぁ...仕事が溜まっているから、ね...」

「...明日は暇ですか?お姉様」

「え...?まぁ、明日は休ませて貰おうと思ってるけど...」

「では会いに来てくださいませんか?ナターシャが寂しがってるから...」

「...そうね。明日は会いに行こうかしら...」

「お待ちしておりますね、お姉様」



この後滅茶苦茶書類仕事をした...

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