0.序章(最終章)
あーにーすとーん
あーにーすとーん……
(このお話も)この物語サイトの無数の作品のひとつでしかないけれど
圧倒的なリアル(日常)に立ち向かうにはあまりに細く頼りない夢だけど
そのリアルから嘲笑されるような(どーしょもない)日常を
終わらせてやりたいほどお疲れのあなたへ
そんな(夢)物語のひとつでも読んで、遊んで、プレイして
このあざ笑う現実世界にせめてもの抵抗をしてみるのはいかが?
(『ガルドアース・ウォーテイル』運営公式/最終章への招待状より)
……はじまりは、一本の剣。
大剣「アウルース」。
その伝説の聖剣を肩に置くように持つ少年が、風薫る丘に立っている。
時に強くなる風に抗うように、広くゆっくりとなびく白いマントに青い長髪。
まっすぐ前を見つめていた新緑の瞳が、ふと横に立つ「わたし」へと向いた。
にこりと笑う彼に、大きな丸眼鏡の下、つられるように笑い返す。
この世界を支配し滅ぼそうとする魔王皇帝──その彼と同じ漆黒の瞳で。
この世界ではわたしと彼のふたりだけが持つ、漆黒の三つ編み髪で。
大きく編んだそれが、ゆるやかに背中をくすぐっている。
そんなわたしたちの周りに、いつのまにか人が集まっていた。
刀身に七つの星を刻んだ長剣を腰に佩く、かつては敵だった魔族の少年。
波打つ魔剣で果実の皮をむき齧っている、禁呪に触れた赤髪のデミエルフ。
本人よりも背中の「神砕きの戦斧」のほうが雄弁に見える巨躯の老戦士。
斧戦士の影で、小さな白い柄の短剣を構えるニンゲン嫌いの猫耳娘。
──それは「仲間」たち。
ここまで一緒に旅をして。戦って。食べて眠って。笑って泣いて。
そうして、とうとうここまでやってきた。
ここまで……世界の終わりまで。
「来たよ、約束どおり──トーヤ」
世界の終わり──それは石。小さな秘石。
世界を終わらせる最強最悪の最終アイテム。
「アーニーストーン」
この世界──いや、このゲームそのものを終わらせる最重要キーアイテム。
それはこのゲームに限界を感じた運営側が用意した、最終章。
サービス終了を告知した運営側と、
選ばれたプレイヤーたちとの、
最初で最後のガチンコ勝負。
そのミッション最終日。
ここまで生き残ったプレイヤーのひとりとして、わたしはその場にいた。
今やかけがえのない存在となった仲間たちと共に。
やっとここまで。
魔王皇帝トーヤ──ううん、「歳矢」。
今度こそ、絶対あなたを守ってみせる。
現実で失った「あなた」を、
二度とこの世界から──「わたし」の前から消してたまるか!




