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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第12巻 陰陽の狭間を駆け抜けて

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潜伏Ⅱ

「その僧侶さんは、どうなったんですか?」

「我々には何とも……恐らく、今頃は南条家の者から西園寺家の者へと引き渡されているでしょうね。今回の件は、封印塚を解放するという重罪なので、四方位貴族がいくつも動くことになっています。もちろん、あのファンメルから来た商人も同じように捕えられているでしょう」


 詳細が分かり次第、ファンメル王国へと連絡を取るそうだが、その内容を知ることはできないだろう。そして、巴もそれを話す気はないだろうし、もしかすると彼女も知らない可能性がある。ただ勇輝たちが知らない間に、二人の命は闇に葬られることくらいは予想はできた。


「封印塚って、何?」

「あぁ、あなたは外から来たので知らないでしょう。この国には危険な魔物が存在していて、殺しきれずに何とか封印をしているのです。それを無理矢理破って、化け物を解放し、手懐けようとした無法者がいただけの話です」


 巴は呆れたと言わんばかりの顔で首を振った。そんな身勝手な者たちのせいで多くの被害が出た。それでも被害は最小限だというのだから、もし討伐が間に合っていなかったらと思うと怖気が走る。


「ふーん。それって、この辺りにもあったりする?」

「そうですね。この辺りだと……やはりアレか?」


 巴が横にいた正司へと顔を向ける。桜やアリスに話し掛ける時とは違い、砕けた口調で話し掛けているあたり仲が良いというか、信頼関係が築けているのが伺える。

 しかし、そこには涎を垂らして白目をむいている正司がいた。巴の頬がピクリと引き攣る。間をおいて、正司の脇腹に手刀が突きこまれた。


「おっふぉ!?」

「おい、流石にもう眠気はないだろう? さっきまで楽しそうにおしゃべりしていたのだから」


 咽る正司に更に攻撃を加えるそぶりを見せると、慌てて正司は土下座の態勢に入る。


「と、巴さん。正司さんは一番長い時間見張りをしてくださってたので、大目に見てあげてください」

「この程度の見張りで音を上げるのなら、それこそ、もう一度修行をやり直した方がいい」


 そう言いながらも桜の言ったことも一理あるというのは理解しているのか、それ以上の追撃が正司に飛ぶことはなかった。


「あ、あぁ、話は聞いてたって。ここらで封印されてる奴だとあれだ。小鬼どもと戦ったススキとは逆側にある山には強い鬼がいるとか何とか」

「確か、最後に目を覚ましたのは……かなり昔か。流石に年号までは私も覚えていないな」


 鬼となれば勇輝のいた日本でも最も有名な妖怪の一角になるだろう。小さな子供でも鬼・河童・天狗あたりは誰でも知っている妖怪だ。尤も、古典文学を遡れば、巨体で力持ちといったイメージ通りの鬼ばかりではないこともある。

 ただ、この封印されている鬼に関しては一般人が持つ、あの鬼の姿らしい。


「俺も爺さんから聞いた話だが『腕を振るえば山が消し飛ぶ』なんて聞いたことがある。実際は、雑兵が突っ込んで行って一振りで吹き飛ばされる様をそう言い伝えているんだろうが、かなりの怪力持ちだということは確かだな」


 隆三も外を見張りながら、話に割って入ってくる。


「管理も国が囲いに囲いを重ね。見張りを何重にも敷いてるって話だ。四方位貴族であっても、おいそれと立ち入ることは不可能。興味を持つだけ無駄ってな」

「ふーん。じゃあ、大丈夫かな?」

「……大丈夫って何がだ?」


 アリスの不安を煽る言葉に隆三が顔だけ振り帰る。それを見課してアリスは足をバタつかせながら、さらりと言い放った。


「あそこの山の中で怪しい動きをしていた人がたくさんいたから、狼ちゃんたちと一緒に追っ払っちゃったんだよね。人が寝ようとしてるのにガサガサ煩いし」


 勇輝たちの間に嫌な空気が流れる。もしや、それは先日の商人の仲間なのでは、と。

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