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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第22巻 からくれなゐに染まる腕

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怪僧Ⅲ

 巫女たちが生活する三の丸。そこに辿り着くと、見覚えのある巫女が腕を組んで仁王立ちしていた。


「あ、光子さん。お久しぶりです」

「えぇ、お久しぶりですこと。それで、何か私に言うことはありませんか?」


 巫女見習いをしている彼女とは以前、海京で起こった半妖化した泥棒の犯人を追い詰めるために協力をした間柄だったが、それ以降は特に関わっていない。何故、彼女が怒っているのかわからず、勇輝は首を傾げた。


「はぁ、特に――――わぁ!?」


 一度、考えた後に思い当たらないので、正直に答えると途中で彼女の右ストレートがお腹目掛けて飛んできた。真横からみたら綺麗なくの字に見えるほど、ぎりぎりで回避した勇輝は、姿勢を保てずに背後へと二、三歩退いて、両手を前に出す。


「お、落ち着いてください。一体、何がどうなって……?」

「私、以前助けた女性が団子屋でどのように生活できるようになったかを手紙に書いて送ったのですが、その返事の一つも寄こさないとは、人としてどうかと思います」

「――――んんっ?」


 手紙の返事がないことへの怒りというのは理解したが、勇輝はそのような手紙を見た覚えがない。唯一、覚えがあるのは、自分が桜へとしたためた一日の報告書染みた手紙くらいだろう。

 困惑した顔で僧正に助けを求めると、彼もまた首を傾げた。


「雛森村まで届くには時間がかかる。お主たちが解決した事件となると、ちょうど勇輝の心刀が納品された頃。およそ三週間ほど前だろう。手紙を出したのはいつ頃だ?」

「十五日ほど前です」

「む、それでは届いていてもおかしくは――――」


 そこまで告げて僧正は、すぐに拳を掌に打ち付けて、いかにも思いついたというような動きをした。


「巫女よ。その時は恐らく、雛森村は急遽、夜駆けの儀と姫立ちの儀を行っていてな。その後は、色々あって村を封鎖していたのだ。恐らく、お主の手紙は隣の村で止まっているだろう」

「え、あの儀式をこんな時期に、ですか?」

「詳しくは知らんが、南条の息子が急に来て早めるよう言ったらしくてな。それもあって、色々と面倒ごとに巻き込まれていた」


 僧正の説明を受け入れたのか。光子の怒りが漏れ出ていた表情が少しずつ収まって行くのがわかる。

 そんな彼女の視線が下に降りた。ファイティングポーズをとったままだったことに気付いたようで、手をゆっくりと開くと、静かに自分の前で丁寧に右手の上に左手を重ねて礼をする。


「し、失礼をしました。そう言った事情があるとは知らずに、早合点をしてしまいまして」

「いえ、良いんですよ。それより、あの女の人はどうなったんですか? さっき、団子屋に看板娘が増えたって聞きましたけど、まさか?」

「そのまさかです。今のところ、妖怪化は起きておりません。彼女も随分と生活に慣れたようで、以前見た時とは見違えるようです。その様子ですと、まだ団子屋には顔を出していないようですね。あなたにもお礼が言いたいと言ってましたので、時間がある時に顔を出してあげてください」


 光子は、そう言うと三の丸の中へと掌を向けて中へ入るように促す。勇輝たちもそれに従って中に入って履き物を預けると、彼女の案内に従って巫女長の下へと向かう。

 三の丸を始めとする城は外観とは打って変わって、内部に結界の応用で拡張空間が存在している。その為、すぐに巫女長の下へは辿り着けない。結果、多くの巫女たちと廊下ですれ違うことになる。


「何か。以前よりも凄い見られている気がする……」

「当たり前でしょう。異国の外套と皮鎧を纏った奇抜な格好の刀使いなんてあなた以外にいませんから。土蜘蛛を退治した話以外にも色々と噂は聞こえてきていますよ。最近の話題は歩奧家の領地で大鬼退治したことですか」

「え゛、その話もここまで届いてるんですか!?」


 自分の想像以上に、活躍したことが海京まで届いていることに驚きを隠せない勇輝。ネットなどないこの世界に、一体どうやってそこまで話が広がるのかと疑問に思ったが、人の口に戸は立てられないとも言う。勇輝は深く考えることを諦めた。

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