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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第22巻 からくれなゐに染まる腕

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夢現Ⅵ

「――――おかしい」

「おかしい、とは?」


 夢から覚めて再び僧正と稽古に戻った勇輝は、開口一番にしかめっ面で告げられて首を傾げた。

 まだ稽古は始まって三十分すら経っていないのに、何をアドバイスするでもなく呟かれては戸惑うのも当然だ。


「いや、確かに我が午前中に指摘した通り、理を感じさせる動きがあった。そこに関しては心刀もあるから何かあったのやもしれんと納得している」

「はい。昼食後に夢の中で特訓してました」


 実際、僧正の攻撃に対してカウンター気味に攻撃を放つことができた時もあり、短時間とはいえ特訓の成果が出ているように勇輝も感じていた。


「だが、午前中に感じた威圧感、とでも言うのだろうか。お主から不思議な圧が感じられていたのだが、今はそれが無い。正直、相手にしたくないのはどちらかと聞かれれば、我は午前中のお主を選ぶだろう」


 僧正自身も自分の感覚を上手く言葉にできないようで、戸惑っているのがわかった。

 数秒程、沈黙を続けていたが、パッと天を仰ぎ見て大きく息を吸い込む。


「もしかすると、我の教えはお主の流派と相性が悪いのかもしれん」

「僧正さんの言っていることは、どの流派でも通用する教えだと思うのですが……」


 一度の動作に二つ以上の目的を持って動く。その方がいちいち余分な動きをしなくてもいというのは全く以て正しい理論だ。実際、勇輝が習得している技の一つにある「狂い月」は、敵の攻撃を低い姿勢で掻い潜りながら、最短距離で攻撃を加えるという回避と攻撃の一体技。僧正の言う理を満たしていることになる。


「いや、その先の話だ。恐らく、お主の流派も必ず理がある。ただ、その中身が何かを理解しなければ意味がない。同じ躱すにしても、様々な意味があるからな」


 目的が異なれば、動きには自ずと無理が生じる。それを違和感として僧正は感じ取ったのだろうと勇輝は考えた。


「午前中のことはすまんが、一度忘れてくれ。少しお主の動きを観察して、特徴を捉えねばならん」

「観察するというのは……素振りをすればいいですか?」

「いや、今まで通り戦う。その中で、お主の癖なのか。流派としての特徴なのかを見極めたい。できるかはわからんがな」


 そう言うと僧正は持っていた木刀を中段に構えた。勇輝もまたそれに応えて木刀を構える。

 流石に、真剣での戦いは危険と判断しての木刀だったが、それでも僧正が構えると切っ先から感じる圧が半端ではなかった。

 夢の中で経験したものとは違い、少しでも気を張る気持ちを途絶えさせてしまえば、確実にやられるという確信が襲ってくる。気付けば、この短時間で木刀を握る手に汗をかき始めていた。


「では、行くぞ――――」


 僧正が動き出そうとしたその時、茂みが大きく揺れて、二人の注意がそちらに惹きつけられた。


「――――広之殿の式神か。何用だ?」


 そこには首から上がネズミの顔をした人が姿を現す。雛森村の鬼門に位置する言之葉家当主の広之が操る式神の一人であった。十二支の動物を象った頭部から、彼女は子式と呼ばれていた。

 敵ではないことがわかり、安堵する勇輝と僧正であったが、子式の慌てように別の何かを感じ取る。よく見れば、ただ慌てているだけでなく、どこか息切れをしているような様子があった。


「お忙しい所を申し訳ありません。失礼とは存じますが、僧正殿のお力をお借りしたく――――」


 子式が慌てて捲し立てるが、その途中で体が急に膨れると、水となって弾け飛んでしまった。

 子式の能力の一つは水による分身体の作成がある。だが、分身体とは言っても強力な攻撃を受けない限り消えることはない。どこからも攻撃が飛んできていないにも拘わらず、それが破壊されたということに勇輝は動揺した。子式本体、或いはその主である広之の身に何かがあったとしか考えられない。


「勇輝。言之葉邸に向かうぞ」

「わかりました」


 二人は木刀を持ったまま、全力で山を駆け下り始めた。

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