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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第21巻 疑惑の白面狐

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未来に向けてⅦ

 杖の柄を軽く撫でながら、マリーは頬を膨らませる。

 勇輝たちが日ノ本国に帰国してから一ヶ月以上の月日が流れていた。その間に起こったことは、とにもかくにも面倒なことばかり。

 数年間、水精霊(ウンディーネ)になっていた少女ソフィと祖父であり魔法学園の長であるルーカスとの邂逅。そこに入って来る狂気の宮廷錬金術師エドワードとのいざこざ。勇者を探し求めていた聖教国の聖女アストルムと勇者の立場を頑なに拒否するマックスとの間で起こった決闘騒ぎ。挙げればきりがないほどの事件の大行進(パレード)だった。


「サクラとユーキ。元気でやってるかな?」


 出身国は把握していても、どのあたりに住んでいるかまでは把握していない。地図も島の大体の位置と大きさがわかるだけでほぼ空白に等しく、今回の護衛中に出会うのはファンメル王国中の水の中から一滴にも満たない水を探し出すようなものだ。

 今回の旅程は港に到着後、日ノ本国側の案内に従って国家元首である水皇と水姫と会談することと聞いている。主な内容は互いの国で起きていることの情報交換。新種の魔物や迷宮などの情報はもちろん、いずれ復活するであろう魔王の存在を伝えることが急務とされている。

 今回の階段におけるファンメル王国側の切り札は、それに関連するものだ。流石に魔王と聞いては日ノ本国も黙っていられない。その他の交易に関する話でも有利に交渉が進めることができる。友好国とはいえ、要求するものは要求していくのは別に不思議な話ではない。

 予定では会談は内容ごとに日を分けて行うため、首都である海京にて長期滞在することになっている。もし、サクラたちに会うとするならば海京にいることを願うばかりだ。


「まぁ、会うのは無理か」

「……ユーキたちのことか?」

「そうですよ。フェイも会えたらいいな、と言ってました。今は船酔いでダウンしてますけど」

「船酔いか。副会長も大分つらそうにしていたな。最初は気丈に振舞っていたようだが、体調を崩されてはどうにもならないようだ。最初は背中を擦ろうとしたら、部屋を出て行けと怒る元気があったんだけどな」

「(――――それは女心がわかっていないだけでは?)」


 魔法学園の生徒会副会長であるエリーの態度を見れば、何となくオーウェンに好意を抱いているのは、マリーでも推測できた。家柄、実力、容姿など他の追随を許さないオーウェンに、自分の情けない姿を晒すのは年頃の女として許せない所があったのだろう。それも船酔いで胃の中をひっくり返すとなれば、なおさらだ。

 かつて、自分たちとオーウェンたちで対立した時に、彼はエリーがやられた瞬間、かなりの動揺をしていたと聞いた。普段から一緒に行動を共にしていることを考えると、あながち彼からもエリーへ少なからず好意は向いているはずだとマリーは考えたところで、ふと気付く。


「(まったく、サクラとユーキがくっつくんじゃないかって揶揄ってたせいで、他の人の色恋沙汰まで気にするようになるなんてな。あたしにはまだ早いと思ってたけど、そういう相手をあたしも求めてるってことか?)」


 冷静に自分のことを考察して、想像だにしていなかった結論に至ってしまう。潮風が頬を冷やしていたのに、いつの間にか顔が火照ってしまって、マリー余計に恥ずかしく感じた。


「大丈夫か? なんだか、顔が赤いが風邪でも引いたんじゃないか?」

「いや、これから新たな大地を踏みしめられることに興奮してるだけです。こちらはお構いなく」

「なるほど、あいつの妹なら確かにわくわくしていてもおかしくないか。あ、別に非難をしているわけではないからな?」


 オーウェンとは犬猿の仲にある前生徒会長にして、マリーの姉クレア。今回はファンメル王国でやるべきことがあったようで、彼女は参加していない。そもそも、聖女の護衛に参加していなかったが故に、参加資格がない。


「わかってますよ。それより、ほら。港が大分近づいてきました。昨晩からかなり海の波が小さくなっているので、二人の体調も回復してきているでしょう。あっちはアイリスとお偉いさんがいますから、私は二人を呼んできます」

「そうか。済まないがよろしく頼む」


 船内に戻っていくマリーを見送るとオーウェンは、アイリスたちの側へと歩いていく。目を細めると既に大勢の人が歓迎するべく整列しているのが見えた。

 好奇の視線に混じって殺気のような物が飛んできていることにオーウェンは気付いたようで、剣の柄を指で撫で始める。そんな彼の前では、同じように殺気に気付いたのだろう。ケアリーがアメリアを心配している様子が見られた。


「なかなかの歓迎ぶりですが……アメリア様、特に負担はございませんか?」

「えぇ、大丈夫です。こちらには最強の盾がありますから」


 アメリアはケアリーの実力を心から信頼しているようで笑顔で頷いた。

 そこに国の名を背負って怖気づく素振りは欠片も見当たらない。若くても彼女は責務を果たそうとする立派な王族の一人であった。

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