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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第14巻 紅より来たる龍

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双龍Ⅰ

 服装は大龍と似た緑色の服。声と背丈からして、まだ十代半ばの少年と青年の境くらいだろうか。目鼻立ちは大龍に似ており、何らかの血縁関係があることが推測できた。

 とても上空から降って来たとは思えない身軽さで地面に降り立つと、背負った剣を抜くでもなく、無造作に勇輝たち――――正確には、拘束されている大龍――――に近寄って行く。


「動くな。何者だ」


 魔弓こそ構えないものの、隆三が声を張り上げて静止する。すると、意外にもその人物は素直に立ち止まり、淡々と告げた。


「李小龍。そちらで拘束されている大龍の弟です」

「弟だと?」


 隆三の顔が僅かに歪む。

 それもそのはずだ。李家は蓮華帝国の大貴族。その次期当主だけでなく、その予備である弟まで同じ国に派遣するというのは、何かしらの策があるのではと疑ってしかるべきだ。大抵の場合、後継者候補が複数いればリスク分散を考えて、別々の国に派遣したり、片方は国内に留まらせたりする。

 目の前の大龍と小龍のように同一カ所にいて、何かに巻き込まれでもしたら家の存続が危ぶまれる。そのようなことを当主が許すはずがない。あり得るとすれば影武者か、それとも、外に出しても問題ないくらいの実力者か。

 隆三の鋭い視線が小龍に突き刺さる。

 しかし、当の本人は涼しい顔だ。視線が揺らぐことも体の一部が震えることもなく、堂々と相対している。

 その様子を見て、隆三は後者だろうと確信したようで、魔弓の弦へと指が動く。

 ただ、もう一つ問題点が存在していた。それは小龍がどうやってここに来たか、だ。

 元々近くにいたのか。或いは何かしらの方法で遠くから来たのかすらわからない。ただ、彼も兄のように不法侵入であった場合は、国の防衛体制がザルであることを証明しているようなものだ。

 ここ最近、日ノ本国への不審者の流入が目立つ。勇輝たちがここ数日で出会っただけでも三人だ。いくらなんでも多過ぎるだろう。


「……君の兄が何をしたのか、わかって言っているのか?」

「いえ、少し占いで嫌な予感がしたので来てみただけです。ただ、先に手を出したのは兄なのだろうとは予想できますが……気を悪くされたら申し訳ありません」


 勇輝が鎌をかけてみるが、詳細を聞かずともいきなり兄の非を認めてしまうのは想定外だった。振り上げた拳の落としどころがわからず、勇輝どころか他の皆も困惑の表情を浮かべる。

 小龍は距離を詰めることなく、その場で両手を広げて言葉を続けた。


「ただ、一応、これでも李家の跡継ぎ。身柄を拘束されるとお互い面倒になると思いますが?」

「そんなのは百も承知だ。だけど被害を受けたままのこちらが、そうですか、と解放するわけにもいかんのはわかるだろ。それとも何か? 責任を取る方法でもあるのか?」


 隆三が小龍に少しばかり話を誇張して伝える。

 元々、青龍との約束で身柄は解放して、後に来るであろう帝国の別働部隊を警戒できれば良かった。そこに大龍の暴走があったが故に、青龍との約束を果たすにしても公平とは言えない状況になってしまった。

 事実、青龍も己の主が見苦しい姿を見せたせいで、要求を再度しにくくなっている。

 だから、隆三はこれを機に何かしらの情報を引き出そうとしているようだった。


「そうですね。簡単に金銭では解決できるものではないでしょうし、できたとしても持ち合わせはありません。ここはご迷惑をかけた分だけ、何か有益な情報をお伝えするのが妥当かと」

「内容による。そうですね? 隆三さん」

「あぁ、勇輝の言う通りだ。そこらに転がっているような小さい話を、膨らませて伝えられても敵わんからな。次期当主の身柄に釣り合うだけの情報を出してからだ」


 そこで初めて小龍は迷いを見せた。視線は近くを浮遊する青龍に送られ、助けを求めているようにも見える。

 しばらく、腕を組んで宙を視線が彷徨っていたが、何か思いついたのだろう。小龍は隆三と勇輝を見ながら驚愕の言葉を発した。

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