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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第14巻 紅より来たる龍

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雷天大壮Ⅸ

 ショックを受ける大龍に、さらに桜は追い打ちをかけた。


「それと、あなたは占いが得意だと言ってましたが、少し落ち着いてやった方が良いですよ?」

「な、こんな島国の道士紛いの小娘が、偉そうに何を――――!?」

「おい、暴れるとまた血が噴き出るぞ。落ち着け!」


 正司に抑えられながらも、侮辱されたと捉えた大龍は何とかして振りほどこうともがく。しかし、既に四肢を縛られた身とあっては、流石に抜け出ることは不可能。

 大龍の動きが静まるのを待って桜は口を開いた。


「あなた。さっき雷天大壮と言いましたが、その意味を覚えていますか?」

「当たり前だ。そんなことくらい暗記せずに占いができるはずがないだろう」

「占いができるかどうかはさておいて、雷天大壮にはこういう意味も込められているはずです。()()()()()()()()()()()()()と。はっきり言って、あなたのどこが正しいというのか甚だ疑問です」


 逆に桜の風地観は表面的なことに惑わされずに真理を見抜くことを意味している。

 大龍の雷という目に見える攻撃に惑わされずに、その本質である術式の仕組みを解読しようとした桜。その行動も相まって、大龍の術式はより正しく行動に移した桜の風を術式通りに処理した結果、雷を逸らしてしまったのだろう。

 それを理解したらしく、大龍は言い返すこともできずに真一文字に口を結んで桜を睨むだけだった。


「あなたがもう少し穏便な手段で接触を図っていたら、こんなことにはならなかったかもしれませんね。それとも、占いは得意でも自分のこととなると都合のいい方に捉えてしまうのかも」




 桜の言葉に耳を傾けていた青龍は、感心したように頭を上下に振った。


『いやはや全くもって、少女の言う通りだ。これで主が少しばかり大人しくなってくれればいいのだが――――!?』


 空中に浮かんでいた青龍は突如として、あり得ない気配を感じ取り、首を動かした。

 方向は北北東。距離はまだ離れているが、真っすぐにこちらへと向かってきている。このまま行けば、数分と立たずに姿が見えてくるだろう。


『(くっ、この状況を見られたら不味いことになるか……!?)』





 青龍が慌てる中、眼下では大龍への治療と並行して、今後の対応について話し合いが始まっていた。下手に刺激をすれば青龍が動くのではないかと、何度か見上げる。しかし、青龍は心ここにあらずと言った様子で、勇輝たちの会話に口を挟む様子がない。


「……とりあえず、止血が終わったらギルドまで運ぶかあいつに聞くしかない。一応、最初はギルドに連れて行かないって話だったからな」

「そうですね。本来ならば即座に連れて行くところですが、先程の攻撃を上回る規模だとすれば、私たち程度、一瞬で吹き飛ぶでしょう」


 巴が近くの木に視線を移す。そこには、未だに雷に当たった衝撃で燃え続ける木が数本存在していた。


「この木も、放っておいたら周りに燃え移っちまうぞ。早い所、ギルドに知らせなきゃいけないのは事実だ。巴、先にそっちへ行ってもらえるか。この状態なら流石にもう襲ってこれないだろうからな」

「わかりました。先にギルドに向かいます。彼のことはどのように伝えればいいですか?」

「どのようにも何も、起こったことをそのまま伝えて、一応、西園寺にも連絡を入れておいてくれ」

「はい。それではみなさん。お気をつけて」


 巴が素早く道沿いに掛けていく。

 勇輝はその様子を眼で追いながら、刀を握り直した。

 数時間とかけずに違和感を抱かせない道を作り上げ、一晩中霧を展開できる環境操作能力。風の斬撃や凄まじい数の雷を降らせる攻撃力。言葉巧みに人を縛り、自らの力を高める暗示。どれも一人の人間がもつ力としては強すぎる。

 今でも、その力を振るった大龍に勝てたのかどうか実感がわかない。


「……とりあえず、桜のおかげで助かったよ」

「う、うん。今回は勇輝さんを助けられて良かった。今日の一騎打ちも、昨日の戦いも見てることしかできなかったから、すごい心配だったんだよ」

「ありがとう。でも、これでやっと安心して過ごせるかもな。後は青龍さん次第だけど、何も言わなければギルドに引き渡すだけだしね」


 勇輝は刀をゆっくりと納刀して警戒状態を解く。それとほぼ同時に頭上から声が降って来た。


「――――失礼。申し訳ありませんが、その人を回収させていただきます」

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