↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された悪役令嬢、イカに転生して最強に! と思ったら大魔王クラーケンの幼生でしたわ!  作者: 大沙かんな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/13

01.婚約破棄で追放ですわ

「ゲソー侯爵令嬢マジョリーカ! 我、第三王子の名のもとに、貴様との婚約はこの場で破棄する!」


 ここは小さな島国、イカルガニア王国。その王城の一角。


 王家主催のパーティの会場で、第三王子マヌケンの言葉が高らかに響き渡る。


 それはあまりに突然のこと。名前を呼ばれたマジョリーカは心の底からびっくりして、王国名物の『いかめし』を口いっぱいに頬張ったまま、思わず声の主、マヌケン王子を見つめ返してしまった。


「うぉっ! こ、こ、こちらを見るな!」


 先ほどまで自信満々だったマヌケン王子の顔が、一瞬にして恐怖に歪む。


 マジョリーカはいつもにも増して恐ろしく、厳(いか)めしい顔つき。


 まるで蝋人形のように、血の通っているようには見えない青みがかった白い顔。つり上がった両眼には底の見通せない漆黒の瞳、まるで血の滴るような赤い唇。そして燃え上がるような赤い髪。


 幼い子が見たら泣き出すか、たとえ我慢できても夜中に一人でオシッコにいけなくなる、ほとんどトラウマレベルの凶悪ぶり。


 極悪魔女マジョリーカ。


 その極端なほどの悪役顔に、いつしか彼女はそう呼ばれるようになっていた。



「侯爵令嬢、いや、あえてこう呼ばせてもらう。極悪魔女マジョリーカ、貴様はここにいる妹であるミランダ嬢に、邪悪な魔法を使って嫌がらせを行い、あまつさえその命さえ奪おうとしたな? その凶悪な魔女顔が何よりの証拠だ!」


 もぐもぐ!


 顔が証拠って、さすがにそれはあんまりだわ。この馬鹿王子、義妹に完全にたぶらかされてますわね。


「その罪は絶対に許すことはできない。よって貴族籍を剥奪、この国より追放するものとする」


 もぐ! もぐもぐっ!


 このイカ、ちょっと硬すぎて噛み切れませんわ。反論したくても、その前にまず口の中の『いかめし』を処理しなくては!



 マヌケン王子の後ろで歪んだ笑みを浮かべる義理の妹。父親であるゲソー侯爵も、その後妻である義母も、喜びが隠しきれない様子だ。周囲の他の高位貴族たちの落ち着きを見るに、裏で結託していることが良く見て取れる。


「マジョリーカ、どうした? やっぱり何も反論できんのだろう?」


 もぐもぐっ! だからそれは『いかめし』が喉に詰まって!


 マジョリーカは目を白黒させながら、近くにいたウエイターを合図で呼び寄せ、お盆の上のドリンクを一つ手に取った。


 ごくっごくっごくっ。


 一気に飲み干して、『いかめし』を無理やり流し込む。


「ぷはっ!」


 これでやっと話ができます……わ……?


 手に取った物が悪かった。それはまさかイカ徳利。中身は非常に強いお酒だ。


 マジョリーカの頭の中がくるくる回る。


 マジョリーカは一瞬で酔っぱらってしまい、なぜか楽しくなって、その強烈な悪役顔でニマ~~っと笑った。



「こ、こ、この魔女め! 衛兵! この女を連れて行け!」


 転んで腰でも打ったのか、マヌケン王子は床に転がって立ち上がることも出来ず、怒りのあまり顔を真っ赤にして叫ぶ。


 マジョリーカは一言も口をきかないまま、パーティ会場から連れ出された。


 もしも喋ることが許されていたなら、恐らく彼女はこう言っただろう。


「ああ、『いかめし』……。もう少しちゃんと味わって食べたかった」と。



 彼女は牢屋に入れられることはなく、その日のうちに馬車に詰め込まれて港まで運ばれ、北の海の底へと沈められた。


 そこは悪魔が宿ると言われる真っ黒な海域。


 令嬢は自由を手に入れた、しかしもう二度と生きて浮かんでくることはない。


 女神か、それとも邪神の奇跡でも起きない限りは……。




 真っ暗だった海が淡く光る。


 沈みゆく中で、マジョリーカは確かに、女性の優しい歌声を聞いた。



 あれ、この歌声……、なんだか訛(なま)ってません?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。