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第1話
じめじめとした、ぬるい風の吹く夏の日だった。
思えば、あの日から全部がおかしくなった。
包丁を、ただ、突き立てる。
小さな緑の蕾、真っ赤に熟れたミニトマト、星形のハムやチーズが、飛び散る。
飛び散って、落ちる。
床の上に、うさぎのスリッパをはいた足に、皿の破片の隙間に、落ちる。
落ちて、見ている。
いくつもの、何個もいっぱいの細かいそれは――
いやだ、いやだああいやだ、また私を監視しようとしてる
気持ち、悪い許せない潰す潰れ、ろ潰れろってば
ギリギリうるさい耳障、りだどうして潰れないいい加減にしろ
踏みつけて暗く、な――




