【55話】恋愛双六3
くいくいっ
急にシャツの裾を引っ張られた。
『ぱぱ…つぎ…ゆきの…ばん…』
『あぁ、次は、雪音の順番だな』
『ぱぱ…』
雪音のやつ、ちょっと困った様な顔をして、どうしたんだ。
『これ…』
雪音は、ゲームのコントローラーを握ったまま首を傾げていた。
『あっ、使い方がわからなかったのか。ちょっと、待ってろ、教えてやるから』
そう言って、俺は、雪音の後ろにまわりこんで、コントローラーを握っている雪音の小さな手の上に俺の手を重ねた。
かっ!!!!!
その瞬間、周囲の女の子達が、目を大きく見開いたっ!
何事だっ⁉︎と雪音の顔を覗きこんだら、ちょっと頬が赤く染まっている以外、まったくいつも通りの普通の雪音だった。
まったく、雪音以外の女の子は、気分屋すぎてついていけないよ。
『恭弥!機械のことなら僕の方が詳しいから、シルバーエンジェルに教えるという大役を僕に変わってくれないかい⁇』
遼が、笑顔で聞いてきた。
『私も詳しいわ!』
何故か乙女川さんも雪音に教える役目を買って出た。
『ぱぱが…いい』
雪音が俺を指名してくれた。
乙女川さんは、がーん!といった表情をしていた。
『しかたないわね…』
と呟いていたので、どうやら諦めた様だ。
まぁ、雪音に直々に指名されたんだから俺が教えるしかないよな。
『だがっ‼︎しかしっ‼︎』
どうやら、遼の方は、まだ諦めてない様だった。
『遼さん、モゴモゴモゴ…フォト…』
ん?よく聞き取れなかったが、美水が遼に向かって、何かを呟いた。
『ぐぐぐぐぐ…仕方がない…この大役は…譲ろう…』
何故か、遼がおれてくれた。
普通は、言い出したら聞かないやつなのに。
美水のやつ、遼を説得するなんて凄いな。
『それじゃあ、ゲームの続きをやろうか』
『うん…』
雪音と一緒にコントローラーを操作した。




