【37話】キケンなキゲン
ちゅんちゅんちゅん…
小鳥の鳴き声で目を覚ました。
どうやら朝のようだ。
清々しい朝だなぁ〜
あはははははは。
本当に清々しいよ。
いつもの自分の部屋、見慣れた風景。
やっぱり自分の部屋が一番落ち着くなぁ〜
ここ最近は、無人島とか美水との偽夫婦生活とかで自分のベッドで眠れてなかったから、久しぶりに自分のベッドで寝た気がするよ。
いつも通りが一番だよな!
そういつも通り!!!
ベッドに鎖でぐるぐる巻きにされている点を除けばね……。
あはははははは。
コンコンコン…
『おにいちゃぁ〜ん‼︎もう起きたぁ〜⁇』
雷花の声だ。
この鎖にぐるぐる巻きにされている自分の状態から察するに、今自分がヤバイ状況にあるというのは、容易に察しがつく!
よし、タヌキ寝入りすることにしよう‼︎
『ぐぅーぐぅーぐぅー』
がちゃり。
『あはは、お兄ちゃんまだ寝てるぅー♪お兄ちゃんは、お寝坊さんだなぁ〜』
鎖に繋がれているぐらいだから雷花は、相当激怒してるのかと思ったのだが、あまり怒っていない様だ。
よし、もう少し様子をみよう。
『お兄ちゃんの寝顔は、いつ見ても素敵だなぁ〜どんな夢を見てるのかなぁ〜もちろん私の夢だよね⁉︎あっ、夢の中で私とお兄ちゃんの結婚式のリハーサルとかやっちゃってるのかな⁇私も早くバージンロードを歩きたいなぁ〜。うふふ。もちろん結婚式の夜のことまでリハーサルしてるのかな⁇「待ってお兄ちゃん!そんなに慌てなくても美味しい美味しいメインディッシュ(雷花ちゃん)は、逃げていかないよぉ〜!あっ、お兄ちゃんダ、イ、タ、ン♪お兄ちゃん…野獣みたい…(ぽっ!)」………えへへ、お兄ちゃんが18歳になるのが楽しみだよ!はやく来い恋!私とお兄ちゃんの結婚式!それにしてもお兄ちゃんは、眠っていたら本当に静かだなぁ〜………あれ?眠っていたら他の女の子とも仲良くしないのかな?この街に住み着く悪い泥棒猫達の罠にも引っかからないのかな?そしたら…このまま結婚式まで眠り続けた方がっ⁉︎⁉︎⁉︎ひらめいちゃったよ雷花ちゃん!ナイスアイディィィイイア!眠り姫ならぬ眠り王子?お兄ちゃんは、結婚式の日の朝に運命の人のKissで目覚める!もちろん運命の人は、私!私とのKissで目覚めてそのまま結婚式!見えたよ!見えた!お兄ちゃんとの確実かつ幸せな未来がっ‼︎それじゃあ、お兄ちゃんがこのまま起きないようにぃ〜〜〜』
『おっ、おはよう雷花!!!』
興奮したら雷花が何を呟いているのかは、よく聞き取れなかったが、なんとなく大いなる身の危険を感じて飛び起きてしまった。
『あっ、お兄ちゃん、起きたんだぁ〜おはよう!』
『今日は、いい朝だな!』
『そうだねお兄ちゃん、でもお兄ちゃん疲れてるんじゃない⁇もう一眠りしたら⁇ニコッ!』
雷花、その笑顔怖いよ⁇
ヤバイな。
絶対に二度寝しない方がいい!
雷花のやつ何か企んでいるに違いない!
『いやいや、沢山寝過ぎて、もう一分だって眠れないよ!』
『お兄ちゃんは、きっと疲れてるはずだよ⁉︎』
『いやいやいや、疲れてなんかいないよ!疲れることなんてまったくしてないし、めっちゃっ元気だよ!』
『ほ、ん、と、う、に!疲れてないの?????』
『あぁ、まったくもって疲れてないよ!』
『そうなんだ……疲れてないんだ…………水神美水と水神雪音と家族ごっこしてたのに⁇ゴゴゴゴゴゴゴゴ…』
ヤバイ…墓穴を掘ってしまった。
そうだった。
こうなった原因を思い出した。
雪音と一緒にお風呂に入ったことがバレたんだった…
『ゆっ、雪音は、俺の娘だっ‼︎』
『お兄ちゃんには、子供なんていないよ⁉︎(ぼそっ)だって、私、まだ産んでないもん』
最後の方は、小さくて聞き取れなかったが、雷花が正論で責めてきている…
このまま押し切れるか?
いや、押し切るしかない!
『本当の娘じゃないけど、娘のように思ってるんだ!』
『水神雪音は、お兄ちゃんにとっては、娘という認識で、それ以上でもそれ以下でもないってこと⁉︎(ぼそっ)つまりは、恋愛対象外ってことで、あの子が大きくなっても結婚する気はないってことだよね⁇自分好みに育ててお嫁さんにする気なんかこれっぽっちもないってことだよね⁇』
また、聞き取れない部分があったが、聞き直す訳にもいかないし、仕方がない。
『もちろんだ!』
『そっかー、私、お兄ちゃんと雪音ちゃんのことを誤解してたよ〜』
あれ?案外簡単に誤解が解けて許してくれたな…
『誤解が解けたならよかったよ…』
『じゃあ、お兄ちゃん、安心した所で、もう一眠りしようか!』
『え?』
何を言ってるんだ雷花…
え?やっぱりまだ怒ってるのか???
『大丈夫だよ、お兄ちゃんが眠ってる間に、全ての準備は整えて置くから』
準備って何の準備だよ??怖すぎるよ!!
『らっ、雷花!今日は、いい天気だな!』
『そうだね、お兄ちゃん!絶好の朝寝、お昼寝、夜寝日和だね!』
朝寝、夜寝って何だよ!
『そうだ!こんなにいい天気なんだから、2人で出かけないか?』
『ふっ、2人で???』
雷花が衝撃を受けていた。
『そう!2人で!』
『それって…デェェェトォォォオ?きゃー!お兄ちゃんからデートのお誘いされちゃったー!奥手なお兄ちゃんが私をデートにっ‼︎やったぁー!お兄ちゃんのお兄ちゃんによる私だけのためのデート!ついにお兄ちゃんが自分の気持ちに素直になってくれたんだねっ!あっ、すぐに勝負服に着替えなきゃ!あっ、いけない!勝負下着にも着替えなきゃ!お兄ちゃんの事だからきっと素敵なホテルにも連れて行ってくれるはずだから!お父さんとお母さんとお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに連絡しなきゃ!雷花は、今日は、帰れません…女になってきます!って!うふふふふふふふ。』
がちゃんっ!バタンッ
トテテテテテ…
雷花が俺の部屋から走って出て行った。
どうやら雷花のキゲンも自分の身のキケンもどうにかなったみたいだ。
………
『それにしても雷花、雷花さぁ〜ん!雷花ちゃ〜ん!この鎖取ってくれないのかーい⁇⁇』
しーん………
どうしようこの鎖…




