【36話】女良(娘)とは、良い女の子ですね!
俺と雷花と美水と3人で雪音を探し始めてすぐ、もしやと思って今日一緒に遊んだ公園に行ってみると、案の定、雪音は公園にいた。
ブランコに乗ってキコキコ揺らしながら下を向いてる雪音は、普段から小さいが、更に小さく見えた。
『よし、2人ともここで少し待っててくれ』
公園の入口付近で2人に待機してもらうように頼んだ。
『わかりましたわ。雪音ちゃんをよろしくお願いします恭弥様!』
『わかったよお兄ちゃん。私は、心が広いから今日だけは、見逃してあげるね⁉︎わかってる⁇今日だけだからね⁇これっきりだからね⁇うふふ。お兄ちゃんは、年下が好きなわけじゃないよね⁉︎妹が好きなんだよね⁉︎あっ、もちろん妹キャラをゲットするつもりなんてないよね⁉︎妹は、私で間に合ってるよね⁇いや、私以外の妹なんて認められないよね⁉︎妹神に誓って欲しいな?愛する妹は、私だけだって!』
雷花が何かを呟いていたが、よく聞こえなかったから気にしなくてもいいだろう。とにかく何かを誓って欲しいとか言われたので誓っておこう。きっと、女の子を泣かさないように誓って欲しいと言ったのだろう。
『わかった!誓うよ!』
『きゃー!お兄ちゃんが妹神に誓ってくれちゃったよー!永遠の愛を!そう!エターナルラブッ!妹萌えのお兄ちゃんは、私一筋!私も愛してるよお兄ちゃん!妹神への誓いは、絶対なんだよ‼︎だから誓いは、破ることができないし、破ったら凄いことが起きるんだよ‼︎うふふふ負負負負負負負負負』
雷花がまた1人で何か騒ぎだしたのは、ほっとくことにした。
2人とも許可してくれたので、俺一人で雪音の元に向かった。
スタスタスタ
『雪音!』
ふっ
後ろから声をかけられた雪音が振り返って俺の存在に気づいた。
『パパ…』
ガサッ!
『待ってくれっ‼︎』
雪音がまた逃げようとしたので、即座に呼び止めた。
『ごめん雪音!俺が悪かった!』
『パパは…わるくない…』
『いや、俺が悪い!』
『ゆき…みみおねぇちゃんと…パパをだましてた…パパは…ゆきのほんとうのパパじゃないのに…』
雪音が涙を浮かべながら話した。
『違うよ!俺は、雪音のパパだ!雪音と一緒にご飯作ったり、一緒に遊んだり、本を読んだりして、俺に娘が出来たらこんな感じかなって凄く楽しかった!パパって呼んで慕ってくれる雪音をいつのまにか本当の自分の娘のように感じてた!だから俺は、雪音のパパだ!』
『ゆき…パパのこどもじゃないけど…パパのこどもでもいいの?』
『あぁ!誰が何と言おうと雪音は、俺の娘だ!』
『じゃぁ…また…ごはん…いっしょに…つくってくれる?』
『あぁ!楽しみにしてる!』
『また…あそんでくれる?』
『あぁ!もちろん、喜んで!』
『ごほんも…よんでくれる?』
『あぁ、好きな本を読んであげるよ!』
『パパ…だいすき!』
雪音がやっと笑顔になってくれた。
『ゆき…パパと…まだまだたくさん…おしゃべりしたり…あそんだりしたい!』
『あぁ、これから何でも出来るさ!時間は、たっぷりあるからな!』
これで一見落着だな。
『パパ…あのね…』
『なんだよ雪音!』
雪音が頬を染めて少し恥じらいながら声をかけて来た。
『また…いっしょに…おふろ…はいろうね!』
『あっ、いや、それは、ちょっと…どうだろう?』
『おにいちゅわぁあああああぁぁ〜〜〜ん?』
呼ばれて振り向くと、雷花があり得ないほどの満面の笑顔を浮かべていた。
お兄ちゃんは、雷花の目が常闇の様にまったく光を宿していないのが不気味だよ…
雷花のその笑顔が怖すぎだよ…
バチチチチ…
あれっ⁇あれれ?
その右手でバチバチスパークしている黒いプラスチック製の物は、何かな?何だろうね…あはは、まさかスタンガンじゃないよね?
本来か弱い女の子が護身用に携帯する筈の物だけど…最近、見慣れてしまったけど…どうしてだろう。
『雷花っ‼︎待てっ!待つんだっ!その右手の物を下に置くんだ!』
『お兄ちゃん、妹神に誓ったよね⁉︎』
『妹神ってなんだよ!』
『誓ったよね⁉︎』
ヤバイ…雷花のやつ、まったく聞く耳持ってない。
『ゆっ、雪音!助けてくれっ‼︎』
『パパは…ゆきのこと…すき⁇』
緊急事態だが、こういう質問は、ちゃんと答えなきゃだよな。
『あぁ、好きだぞ』
もちろん、娘や姪や妹みたいに思っている。
『(ぽっ)うれしい…』
バヂヂヂヂヂ
『え?』
俺の可愛い妹の雷花が持つスタンガンの個数が4つに増えていた。
右手に2本、左手に2本も持っている。
あれ?幻覚かな?
『そっ、そうだっ!美水!美水が俺の無実を証明してくれよ‼︎』
『わぁ〜この公園の花壇、とっても素敵ですわぁ〜!あっ、蝶々さんだぁ〜まてまてぇ〜』
美水に見捨てられてしまった…
『くっ、こうなったら逃げるが勝ちだっ‼︎』
すかさず逃げる選択肢を選んだ。
走って逃げること数分。
俺より足の速い雷花にまったくおいつかれないことを不思議に思って振り返ったのだが、雷花の姿はまったくなかった。
なんだよ雷花のやつ、ただの脅しだったのか…
よし、雪音をおいてきちゃったし、公園に戻ろう。
ちょうどその時、視界にクワガタムシを捉えた。
『こんな都会の街中にクワガタムシなんて珍しいな…』
クワガタムシは、まっすぐ俺の元に飛んで来た。
ピタッ。
クワガタムシは、俺に止まった。
『よし、このまま捕まえて、雪音に見せてやろう!』
バチチチチ…
バタリッ
急に身体が痺れて、その場に倒れてしまった。
何がおこったのか…まったくわからなかった…
カサカサカサカサ…
倒れた俺の前をさっきのクワガタムシが歩いていた。
あれ?このクワガタムシ…
本物そっくりだけど…
目とか機械っぽいくないか⁇
まっ、まっ、まっ、まさかな…
『おにいちゃんみーつけたっ!』
雷花ちゃんに見つかっちゃいました。
パタパタパタッ
クワガタムシが飛んでいった。
『よしよし、良い子でしたね。スタッガンちゃん♪』
うん。今、確信を持てたよ。
あのクワガタは、雷花の作ったやつだ…
『らっ、雷花…俺の話を聞いてくれるか⁇』
『もちろんだよっ!』
『そっ、そうか!よかった…』
『お仕置きの後でね♪』
『うわぁーーーーーー』
ぷつんっ。
俺の意識は、そこで途絶えた。




