邪神ヤリィカ 2
邪神ヤリィカの墨から、黒い蒸気が発生し、辺りを黒く染め始める。
「なんだこれ、ベトベトする……」
「生暖かくて……気持ち悪いです」
「生臭イデース」
ファリス達は、とても嫌がっていた。もがけばもがくほど、粘液は彼女達の体を蹂躙する。
「使ってみるもんだなぁ……触手の再生が一瞬だぜ」
邪神ヤリィカは、そう言うと口から砕けた紫色の水晶を吐き出した。奴は、自分の触手の再生の速さを見ながら、にんまりしていた。
そして、喜びに浸った後、再生した触手をファリス達の所へ伸ばし、ぐるぐる巻きにして捕まえる。
「じゃあ、みなさん。私の栄養となってください」
邪神ヤリィカの触手攻撃が、容赦なく彼女達を襲う。
「や、やめろー」
「こんな事……許されないわ」
「コノ触手、ヌルヌルスルデース」
邪神ヤリィカの吐き出した墨から出る蒸気は、今はもう拡散して彼女達の周囲の視界を、黒く遮っていた。
俺は、彼女達を助けなければならない。だが、今はクールタイム中だ。そして視界は遮られている。さらに彼女達が中で捕まっているのであれば、うかつに攻撃する事もできない。
俺は、今できる最善の方法を探すしかなかった。
「ご主人様!」
遠くから声がした。ミツユスキーの声だった。彼は、獣車から降りて弓矢を飛ばし、俺のすぐ傍の氷の地表に矢を突き刺した。
「これは……」
その弓矢には、小袋が付けられていた。




