記憶 2
俺は、いじけて隠れていたタイヤの中に潜り込んだ。
何か、心に穴が開いた気分だった。
言いたい事があるなら、言えばいい……こんなやり方をする必要はない筈だ! カズは、こんな嫌な奴だったのか……。
この時、俺は仲間を信じられなくなっていた。
暫くして、タイヤに誰かが座る音がした。
誰か俺を探しに来てくれたのか! と、期待を胸に俺はタイヤから出た。
だが、そこにいたのは銀縁のグラサンをして右目に傷のある、縞々のスーツを着た強面のおっさんだった。
「坊主、そこで何してんだ」
おっさんは、低い声で俺に話しかけてきた。
「……何でもない」俺は、言葉を返す。
「じゃあ、何故泣いてんだ」
俺は、悔し涙で顔を濡らしていたらしい。
「あいつ等……仲間なんかじゃない。かくれんぼとかいって、どっか消えた」俺は、そのおっさんに八つ当たりするように心の内を打ち明けていた。
「ん……あいつ等、というと……仲間と遊んでて仲間にハブられたのか?」
「……もう仲間じゃ無いよ」
「落ち着け坊主……最近仲間と何かトラブルとかあったか」
「……別に無いし」
「んじゃあ、変わった事は」
「特に無い」
「……じゃあ、何かいい事は」
「絵で金賞が取れた」
「絵で金賞? お前、絵が上手いのか……。じゃあ、仲間で絵に興味ある奴はいたか?」
そのおっさんの一言は、俺に大事な事を思い出させた。




