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タカシの異世界無双計画 ~銃と仲間と異世界と~  作者: 夢奏 舞P
第3章 準備を整えよう
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第20話 暇な一時

 あれから一か月がたった。俺たちはSSクラス達成者の資格を得て、SSSクラス任務を受けるはずだったのだが、開始条件を満たしていなかったので、受けることができなかった。


 この任務の開始条件は、最低20人以上となっている。なぜ人数が必要なのか。たとえば、少人数で魔女討伐に行き、もし、全滅したとしよう。相手は魔女という得体のしれない輩だ。ちょっかいをかけられた仕返しをしにくる可能性がある。それで被害にあうなんてことはあってはならない。


 つまり、受けるなら、失敗は許されないということだ。それで最低人数が設定されているのである。20人という数値は、SS達成者が構成した人員が20人もいれば、達成できるだろうという、ギルドの判断が出した数値のようだ。


 俺の場合、冒険者として、ミツユスキーとケンタ君を自分のパーティーとして加えれば、SS達成者じゃなくても、頭数にいれることができる。(そのかわり、達成しても、ミツユスキーとケンタ君はSS達成者じゃないので、SSS達成者にはなれない)


 それでも人数は足りない。やはり、他のパーティーと組んで部隊を作るしかないのだが、北の魔女討伐は報酬も微妙なうえ、緊急性が無い。なので、受けようとする冒険者はほとんどいないのが現状だ。こればっかりは、地道に声をかけて、条件を整えるしかないようだ。


 俺は、この暇な一時を使って、ファリスに剣技を仕込んでもらっていた。剣技自体は、すぐに上達するものでもないので、基本動作と簡単な体力作りが主だ。ただし、技の研究は余念がなかった。


 俺が今教えてもらっているのは、乱舞モードという、衝撃波を連続で飛ばす霊剣ファントムの裏技みたいなものだ。必殺技ではなく、ファリスが昔やっていた剣の強化の応用技だ。


 一撃必殺ではなく、連撃のイメージをすることによって、細かい技を、鞘を納めずに何度か衝撃波の攻撃を繰り出すことができるようだ。(回数制限はつくが)


 もちろん、霊剣ファントムにとっては必殺技扱いなので、クールタイムは発動する。それでも、使い方次第ではクールタイム中を繋ぐことも可能だ。


 乱戦になった時、いちいち鞘に収めては戦えない。大技は味方を巻き込むから使えない。そんな時の為の隠し玉だ。一撃必殺が1発の大砲であるならば、連撃はマシンガンと言えよう。


 話は変わるが、俺は、ファリスの助言の下、この暇な時期を利用して、職についていた。ヒッヒッヒのメイドに金貨一枚払い、職業つきの石板へと登録し直すだけの簡単な手続きだった。


 とにかく、職についておけばこの先の戦いを有利にするスキルも得られる。

 SSクラス任務の報酬もたんまりともらったし、クラスポイントが頭打ちになったのもあって、職に就くには丁度良かった。


 転職した職業は、守護騎士という職だ。守護騎士は、戦士系の職で、守備に特化している。霊剣ファントムは刀系なので、装備すると盾が邪魔になる。そのため盾を装備しなくても防御スキルでシールドを張る事ができる守護騎士は、今の俺には打って付けだ。


 本来は、仲間を守るために使うスキルだが、味方の足を引っ張らないように、自分を守る為の使用が優先になるだろう。仲間の彼女達には、俺のシールドなんて、全く必要ないぐらいに戦闘力があるのだから。


 俺は、ファリスの指導の下、ギルドの訓練場でブルースライム相手に、斬撃を当てる訓練をしていた。ブルースライムは、動きが素早く、訓練にはもってこいのモンスターだ。


「前半は当たるけど、後半は当たらなくなるな」


 俺は、息を切らしながら霊剣ファントムのクールタイムの終わりを待つ。


「まだまだ余計な力が入ってるっスね」


 ファリスの指南は的確で安心感があった。おそらく、彼女の言う通りついていけば、俺の剣術は少しずつ上達していくだろう。


 そういえば、メイデンの話になるが、彼女はなぜか、SSSクラスの魔導師に認定されているのだ。さらには、大魔導師の称号を手にしてしまった。


 大魔導師になった経緯は、ソエルがメイデンに与えたレアアイテム『ノキンマリング』のおかげだという。


 どうやら、そのリングは、自分の物理攻撃力を魔法力に変換する物らしい。これを装備して、ギルドの登録所でクラスチェックを行ったところ、魔力数値の高さで、職業クラスが上がってしまい、魔法使いの枠を飛び越え、SSSクラスの魔導師として登録されてしまったのだ!


 これが功を奏し、メイデンは扱えなかった禁呪等を使う権利を獲得、使える魔法の幅が激的に広がった。もともと魔法使いを目指していただけあって、魔法の知識は万全。それにSSSクラスの魔力が加われば鬼に金棒だ。


 そして、メイデンの能力を、飛躍的に改善してしまった賢者ソエルだが。元々彼女は、回復が得意な聖職系だ。だが、勇者とパーティーを組んでいた時は、無理をすることが多かったため、使える魔法の幅を広げざるを得ず、賢者になったらしい。


 回復以外では、主にバフ系を使ってくれるので、心強い。しかも、戦闘経験はファリス以上だ。バックアッパーで、これだけ頼もしい人材は他にいないだろう。


 メイデンとソエルの二人だが、今は勇者の家で修行中だ。賢者ソエル師範の下、メイデンは魔法を指南してもらっている。


 ソエルは、禁呪を教えると張り切っていたので、楽しみが増えた。修行は後一週間ぐらいで終わる。俺は、成長を楽しみにして待つことにした。



 今、俺の相手をしてくれているファリスだが、この娘は戦況を見る事にすごく長けている。味方の戦力を把握していれば、有効な作戦を瞬時に立案できるようだ。アタッカーのプロフェッショナルといってもいいだろう。彼女の粋な声を聞いていると、自分も鼓舞されて、戦える気がしてくるから不思議だ。


 死神ファリスの汚名さえなければ、この世界では優秀な戦士として活躍していたのだろう。でも、これも何かの縁だ。こんな優秀な戦士が仲間にいる事を、俺は誇りに思う事にした。


 訓練用のブルースライムの量が減ってきた。1ダースのブルースライムが入った大きな瓶は、残り1つになっていた。


「そろそろブルースライムが尽きるっス。新しいのを捕獲にいきましょう、大将」


 ファリスは、空の瓶を整理して、後片付けを始める。


「ああ、そうだね。もう少しでコツがつかめそうだからね」


 訓練を続けるには、練習相手を捕獲しなければならない。俺たちは、ケンタ君を連れてブルースライムを捕獲に行くことにした。


 ──と、その予定だったのだが……。


「あれ? ケンタ君がいない……」


「いったいどうしたんスかね……」


 ギルドの車庫で待機しているはずのケンタ君と獣車は、影も形も無かった。


「たしか……ここの車庫に獣車があったはずなんだけど……」


「大将! 危ないっス!」


 突然、ファリスが、俺を後ろへ突き飛ばす。それと同時に、矢が俺の目の前を通過し、地面に突き刺さった。


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