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カンナ&ゆうな  作者: Toy
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vol.6

田舎になんて何もない。

ゲーセンも、マックも、ツタヤもない。

あるのはかろうじてコンビニとスーパー。

コンビニも夜になり客足が途絶えれば閉店してしまう。


でも、ぼくにとっては、都会にいたときと比べても生活に支障をきたしたりはしない。

そういった意味で、都会と田舎に差あまりなかったし、田舎に期待もしていなかったんで、

カルチャーショックもない。

しいて言えば、たまにするネットが光回線でない分、じれったくなるときもあるが、

それも田舎と思えばどうってことはない。


でも、何もない田舎の生活に、今まで見つけられなかったもの、見ようとしなかったことが

あって、新鮮な喜び・自分の感情のありかに驚かされたりもする。


運動場をつっきった校舎の入口に咲く桜の花・・

その色は、ミルクを溶かしたような淡いピンク、

春の訪れに感動・・・なんてするわけがない。

ぼくはそれほど年を食っていない。だから常識に感動なんかしたりしない。

でも、でも、花を咲かせる前、葉っぱもない幹と枝だけの桜の木、

フライングに耐えるはちきれそうなつぼみ桜が雨に煙るのを目の当たりにして、

足がすくんでしまった。

ぼくの常識では桜の枝も幹も、毛筆の墨汁の色、日本画の濃淡だけの色だった。

目の前のそれは違う。花は一輪も咲いていないのに、ピンクの光沢を放っていた。

ありえない。

雨に染み出るさくら色・・

桜は咲かなくても桜なのだ。


何もない田舎にあるもの

それにぼくはひとつ魅了された瞬間だった。

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