28 幽霊 後編
手首から先だけで調理をする幽霊が…
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「いやああああああああぁぁぁぁぁ!!!」
マリが七太郎の腕に飛びつく。
「ははは、流石に怖がり過ぎだろう!」
「だってぇ…だって…」
「カガミ…手加減してやりなよ、マリだって女の子なんだよ?」
「でも先輩が言ってた話だからさ、手加減も何もって感じじゃんよ」
「ていうかマリは幽霊とか怖ろしいんだ?」
「それはそうですわよ…、だって目の前に出てきても殴れないし、魔法も効かないし…そんなのに追いかけられなんてでもしたら…もう…」
幽霊に魔法は効かないんだ…はじめて知ったなぁ。というかこの世界にも幽霊っていう概念あるんだ?
アンデッドなら聖なる属性の魔法とか・・・聖なる属性って何ぞ?
太陽とか紫外線で滅菌とか?
「ってか俺ならいるかいないかよくわかんないようなのは信じないけどなー」
「お黙りなさいこの脳筋が!だからこそ…だからこそですわ…」
「・・・そしてこの話を聞いた人間の前にはその幽霊が現れ…」
「いやああぁぁあああああああ」
七太郎にくっついて離れないマリを見て満足そうにカガミは親指を立て、「じゃあなバイビー」と言って去っていった。
「ま、マリ…流石にくっつき過ぎかな」
「だって…だってぇ…」
うるんだ目で見られたらどうしようもないんだけど…。
少し経ったら落ち着いたけど、また夕食の時に食堂が怖いらしくくっついてきた。
ナサカがすごい目で睨んできたが仕方がないじゃん。
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その晩、七太郎の部屋のドアがノックされる
「どちら様ですか?」
「わたくしですわ…」
「あっごめん、縦ロール無いから一瞬わからなかった!」
「さすがに四六時中縦ロールではないですわ…」
「こないだ魔法で固定してるって言っていたから…」
「七太郎さんにはすでに見られていますので、いいのですわ」
「そういうもんなんだね。それで、どうしたの?」
「…」
なんか言いにくそうにもじもじしている。なんだ?いつものマリらしくないぞ。
「あ、ぬいぐるみも持ってきてるんだ。寝間着姿だし…え、もしかして」
「迷惑だとは思うのですけれど…。今晩一緒に寝てくれませんでしょうか…」
「待って待って!え…?もしかして昼間の話が怖かったからとか言わないよね?」
そう聞くと、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いてしまった。
なんてこった…。
「幽霊とか、おばけとか…自分の力でどうしようもないものが本当に昔から怖くって…」
「と、とりあえず一回入りなよ。流石に誰かに見られたら気まずいし…」
「は、はい。お邪魔しますわ…」
バタン
「…男の人の部屋、初めて入りましたわ」
「どうぞ何もない部屋だけど」
「確かに少々殺風景ですわね。制服や私服…見たことのない私服ですわね。どこでお買いに?」
「ユニク…、あ~どこだったかな、親に前に買ってもらったやつだからちょっとわかんないや、服なんて無頓着でね」
「そうでしたのね。あら、床にこんなにいっぱい石を積んでいますが、これは一体…」
「あ、あー。あははは。ま、まぁちょっと座って」
マリはベッドに腰掛ける。
なんだか妙な空気になりお互い無言に。
「そういえばっ」
「は、はいっ!」
「あ、ごめん急に…。ぬいぐるみやっぱり好きなんだね」
「ええ。ないと寝られなくて…」
「そうなんだ」
マリはちょっと膨れた顔で
「子どもっぽいと思ったでしょう」
「そ、そんなこと無いよ」
「本当かしら?」
「本当だってば。え、えーとえーと、何か食べる?」
「夜食?何がありますの?街でおやつでも買ってきましたの?それなら今度おススメが!」
「フッフッフ、いつかマリやカガミに食べさせようと思ってね…」
「えっ、なんでしょう!?」
「これだ!」
「これは…?麺ですわね?でもカチカチで…ふんふん、変わった香りがしますわ。え?七太郎さんが作ったんですの?」
「うん」
「料理するのですわね、わたくしの好感度があがりましてよ」
「え?どういうシステム!?」
「これをかじればいいのかしら?」
「ちょっと待っててね」
「それを器に入れて…?え、ここでゲート!?どこに…お湯の入ったヤカン!?え、手だけ調理場のコンロへ?」
お湯を麺の入った器に注ぎ、蓋をする。
「・・・フフ、ウフフフフ」
「はい、三分経ったよ、どうぞ召し上がれ」
「確かに話を聞いた人間の前に現れましたわね…」
ダン!!
マリに壁ドンされる、えっえっ!?
「七太郎さん…」
「は、はい…」
「今夜は寝かせませんわ、覚えてなさい」
えっ!?なんか悪いことした?
「さて、まずは腹ごしらえですわ、お手並みを拝見させて頂きますわ。いただきます」
マリがまさにラーメンに口をつける。その時
バンッ!
「七太郎ー!!今っ!いま調理場で飯あさろうとしたら手だけの幽霊がっ!俺の!前にぃ!」
「か、カガミ…」
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「このベッド小さすぎんだろ!七太郎何とかしろ!」
「カガミさん、貴方がでかすぎるんですわ!床でお眠りになられてはどうです!?」
「やだ!床、石まみれだし!」
「頑丈だし少しごつごつしていてもツボ押しだと思えばいいじゃありませんの!」
「頑丈だろうがなんだろうが痛いものは痛い、硬いものは硬い!」
「ちょっと二人とも人を挟んで喧嘩しないで…」
「元はと言えば七太郎さんが紛らわしいことをするからですわよ!」
そう言ってマリは七太郎をぎゅっと抱きしめる。
そんな三人をマリのぬいぐるみだけが机の上から見ていた。




