美咲ちゃんは恋がしたい! ♡5 学園祭の濃い闇
初日の女装パンツ丸出し男子メイドの罠を乗り越え二日目、色とりどりのメイド服にため息の貴志。
家でも学校でもフライパンを振る料理人の青春の一コマは有るのかないのか?
美咲ちゃんは恋がしたい、第五話はっじまっるよぉぉぉぉぉ!!
「貴志! あたしの選んだメイド服見て!! チョーカワイイ!!」
オーマイガッ!! 昨日の俺たちが着た尻丸出しの「エロカワメイド服」じゃないだと!!
まあ、当然か。あんな恥ずかしい服、現役のJKが人前で着る訳が無い。あれで、目覚めた上級者が居るかもしれんがな。
さすが、1Bの綺麗どころ一気に華やかになるよ。って、全員メイド服違うとかズルいぞ!! 俺もソレ着たかった····まてぃ!
喫茶の方はメイド八人交代体制で男たちは裏方担当。俺は調理担当でフライパンを振る、振る振る。ゴアっ! こんなにフライパン振り続けるとかなんの拷問?
一旦休憩でカフェに顔を出す。美咲が手招きしているので行くと休憩スペースでオムライスを出してくる。で、美咲の魔法の呪文。ソレ作ったの俺だけどね!
程なく美咲も休憩に入り二人で他のイベントを見て廻る。
まあ、よくある出し物ばかりだがなんだか学校内が別世界でワクワクする。隣で俺の腕に掴まりキョロキョロする美咲は小動物の様でホッコリするよ。
「定番のお化け屋敷を試してみるか?」
「べべべ別に、平気」
強がる美咲にニヤニヤしながら暖簾を潜り抜けた。
陳腐な竹笛や飛び出る「なにか」、落ちてくるコンニャクに一々反応して抱き着いてくる美咲のポヨポヨにクラクラしてくるよ! ワザとやってる?
売らないの館ってネタか? まあ、売り物はないのは確か。
美咲が入りたそうなので行ってみよう。
三年の先輩女子がオバさん風の化粧とフードを目深にして水晶玉で雰囲気を作る。
「ううむ、お前さんたちなかなかいい相性ぢゃぞ、ひょっひょっひょっ」
あの、先輩。俺たち付き合ってるわけじゃないんですが・・・・
隣で美咲がなにやらうんうん頷いている。たぶんカップルで来た連中みんなに言っているんだと思うぞ?
夜の帳が降りると、学園祭最後の後夜祭へと移っていく。
グランド中央でキャンプファイヤーをやり、その廻りでダンスを踊る定番のフィナーレ。
濃い宵闇の中次々にダンス相手をとっかえひっかえして進む。やがてこの学園祭を苦楽を共にした同級生たちとの順番になってきた。
美咲の順番が来る。暗い闇の中に炎の明かりに照らし出される彼女が神秘的な美しさを持っているように見える。
「楽しんだか?」
「うん♪ 楽しかった~♪ また来年もこんな風に過ごせたらいいなって」
少し寂しそうな美咲にちょっとだけ、ホントにちょっとだけ愛しさを感じた。