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第5話
王妃様は破滅した。
白雪姫を謀殺しようとして失敗したのだ。
すべては公にされて、王妃様は国家の転覆をはかった大罪人として処刑されるそうだ。
わたしももうすぐ処分されるだろう。それはいい。
だた、ひとつ思うのだ。もし、わたしが持ち主にウソをつけるようにプログラムされていてれば。
世界で一番美しいのは王妃様と言い続けることができた。
白雪姫が生きていることを、王妃様に教えることもなかった。
毒りんごの作り方を教えることも……。
わたしがもし、人間だったら、王妃様を守ることだってできたのに。
それがたまらなく悔しかった。
人間が言う来世というものが本当にあるのなら、わたしは人間になりたい。
そして、王妃様を守りたい。
最後に気がついた。これが愛というものなのだと。
本来、それを持ちえないわたしが、もってしまった感情なのだと。
わたしは王妃様を愛していたのだと……。
これにて完結です。
読んでいただき、ありがとうございました。