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「悪夢」

 「ルミナ、ルミナ、ルミナ――」

 遠くの方から自分を呼ぶ声がする。声の主が誰なのかは分からない。でも、どこかで聞いたことのある声だ。

 ゆっくりと上体を起こす。周りを見渡しても、真暗な空間が広がっているだけで、何も見えない。辺りを手で探ってみる。平らで"ひんやり"とした床。ここは一体どこなのか?ルミナは次第に恐ろしくなってきた。どうやら、声の主は段々近づいてきているようだ。ルミナはうずくまって、声が聞こえなくなるまでその場でやり過ごすことにした。しかし、声の主は的確にルミナの方向へ向かって来ているようだった。この真っ暗な空間で、どうやって自分の位置を把握しているのか?埒が明かないので、ルミナは起き上がって逃げることにした。真っ暗な空間、当然足元も禄に見えず、盲人のように手探り足探りな歩き方になってしまう。一方、声の主は先ほどより速度を上げて接近してきているようだ。ルミナは額に冷や汗をかいていた。

 「ルミナ、ルミナ、ルミナ――」

 声はもうすぐ近くまで来ているようだった。我ながら諦めが早いと思ったが、ルミナは観念してただそこに立ち尽くし、声の主を待つことにした。確実に近づく足音と声――すると、何故か今まで真っ暗だった空間のあちらこちらに、少しずつ明かりの"芽"のようなものが発生してきた。声の主の下半身が目の前にある。病的に痩せ細った、だがとても形の良い女性の白い脚だ。ひとまず、声の主が人の姿をしていることに安堵する。ルミナはゆっくり後ずさりしつつ、その身体の全てがあらわになるのを見ようとした。しかし、なぜか声の主はそれ以上近づいて来ず、明かりの強さもそこで打ち止めのようだった。

 身体の力が末端から失われていくのを感じる。手足の指先から順番に、まるで自分の身体でなくなるような感覚。力無くその場にへたり込む。最後には、目を開けていることができなくなってきた。そしてだんだん気が遠くなってくるのを感じ、意識を失った。

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