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異世界言ってみよう  作者: サラニネル
続きのようなおまけ

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続 夏の休みの悲(喜)劇

ジリジリと暑い日差しで視界が歪むような中、麦わら帽子を被った三人組がトボトボと歩いている。昨日の騒動のおかげで7日に1回の休日の買い物ができず、今日代わりにすることとなった。しかしカンフォラさんが怖いので、まずはプルの様子を見に行くことになった。


ギルドに着いたツッコ達は入り口から相談カウンターがある部屋に入り、休憩できる椅子に座ると少し休んでいた。

「確かギルドの地下の保管庫の空室をピクシーの監獄にしたって言ってたな、どこだっけ?」ツッコはあくびをした後そう言って、辺りを見回した。

「マーサさんが言ったのは、あっちだったよ!あと入り口で衛兵さんに、プルに面会したいって言えばいいって」

アマリは立ち上がり相談カウンターではない方の通路を指差した。


地下の入り口に行くと軽装の鎧にショートソードを吊るし、表情の見えない兜をした衛兵二人が無言で立っていた。

「あ、あのう、プルに面会に来たんですが」

ツッコは少しビビりながら告げた。

「お前ら、こっちへ来い」

衛兵の一人がそう言って地下の奥の方へ歩いて行ってしまったのでついて行った。

少し歩き衛兵が鉄格子の付いた部屋の前で止まり、扉を開けながら言った。

「この砂時計が落ちる間で話せ」

そして、その部屋の中から見える椅子に砂時計を置くと、首を横に振って促し冷たい目で監視を始めた。


魔道ランプの光ぐらいしかない薄暗い部屋を見ると、中央の台座の上に2Mぐらいの鳥籠のような四角い牢屋があった。中を見ると角の方で崩れた体育座りをしながら何かブツブツとつぶやいているピクシーだけだった。顔を見合わせたツッコ達は息を呑みビビリながら耳を澄ましてみた。


「...ま゛たここに...っう゛っう゛...カ、カンフォラまで...」

プルは腕で涙をぬぐっている。どうやら昨日の事を思い出しているようだ。

「プル?...げ、元気なさそうだね?...」

ボッケは心配しているのだが、いい言葉が見つからなかった。

「アホか!お前は!...プ、プル大丈夫か?...」

ツッコはボッケに突っ込んだが、プルに笑顔を作れたかわからなかった。

「プル元気出して!」「ゲンキ ダセ!」

アマリとドゥエンデが心配そうに声をかけた。

プルは顔をこちらに少し向け瞳が動きツッコ達が映った。

「...違う...」

そして聞こえない声でつぶやくと、また顔を下に向けて黙り込んでしまった。

それから声をかけ続けたが、こちらを向くことも無く時間が来てしまった。


少しひんやりとした薄暗い監獄のプルの様子を思い出しながらボッケは麦わら越しに暑い日差しを感じていた。

「なんか全然元気なかったね...」

「ん〜...元気出るもんでも買うか?...酒以外で何が好きなんだ?」

ツッコはそう言うと頭を掻いた。

「何が好きなんだろ?甘いのならいいのかな?」

アマリは二人の後ろから声をかけた。ドゥエンデは首を傾げながら飛んでいた。

「そうだよ!確かシードルも甘いほうだったもんね?」

ボッケはアマリに賛同し笑った。

「じゃあ、ハチミツか果物でも持ってくか?...いけるといいけどよ」

ツッコもなんとかなるだろうと思いたいが苦笑いしかできなかった。


その後、屋根のない空き家跡を適当に探し昼食にすることにした。その際にマナー通り入り口の地面に石を置いてバッテンをしておいた。そして食べ終えて休憩すると、いつものように市場で食料の買い出しを済ませてからハックの店に向かった。


ハックがお客さんにお釣りを渡した、その時だったドアの開く音が聞こえボッケとアマリとドゥエンデが入ってきて棚の商品を夢中で眺め始めた。その後、しばらくするとツッコがゆっくり入ってきて疲れた笑顔で挨拶した。

「...よお爺さん」

「おやツッコ君、冷たいものは本当に美味しいのう!うん?...疲れた顔をしとるな?確か元気の出るものこの前仕入れたんじゃ...」

ハックは元気なさげなツッコを見て何か探そうとしていた。

「いやいや大丈夫だって、あいつらの面倒見て少し疲れただけだよ」

ツッコは商品に夢中の仲間達を呆れた感じで眺めていた。

「しかしボッケ君もアマリちゃんも元気じゃのお...まあ座って休んでなさい」

釣られてハックも眺めると笑っていた。

「俺も元気分けて欲しいぐらいだよ...」

ツッコはカウンター下の椅子を他のお客の邪魔にならないとこに引っ張り出して座るとくたびれていた。


しばらくして残りのお客さんも買い物を済ませるとハックが声をかけた。

「それで、今日もいつも通りのでいいのかの?」

「それもいるけど...今日は甘いもんがいるんだ。できればピクシーが好きなやつで...あと元気出るともっといい」

「甘くて?ピクシーが好きで?元気ぃ?...なんかあったかの?」

「あ!あと塩以外の味付けるものって何かいいのないかな、できれば安いのでさ」

だいぶ元気が戻ったのか、ツッコは不満顔ながらも自分も棚を見渡していた。

「...それと味付けかい?...色々あるが、ちょっと待っててくれ」

ハックは髭をいじり笑いながら答えた。


それから、また別の1組のお客さんの会計を済ませた後ハックが箱を抱えてやって来た。それを見てツッコは仲間達を呼んだ。

「まずは甘くてピクシーの好きな元気が出るもんじゃったな?」

ハックはツッコ達が見守る中、箱から4つの壺を取り出し机に置いて言った。

「ピクシーの好きな甘いもんといえばハナミツじゃな、あとはこの水飴じゃが、どっちも液体の壺売りか、アメにしたものもあるぞ?...値段は銅貨でハナミツが液体は陶器の小瓶(缶コーヒーぐらい)90枚、アメは10個入りで200枚、水飴のほうは小瓶が24枚でアメは10個入りで50枚になるけどどうじゃ?まあ料理に使うなら液体がいいと思うのお」


「どっちも一人なら味見してもいいんじゃぞ?誰が舐める?」

ハックがそう言うとボッケ、アマリ、ツッコが手を上げドゥエンデもよくわからないまま手を上げた。

「僕だよ!」「私も舐めたい!」「俺だ!」「ドゥエンデモ! ドゥエンデモ!」

そしてじゃんけんをした結果ハチミツがドゥエンデで水飴がアマリとなった。

「それじゃあ、二人とも手を出して!」

そういって、ドゥエンデの両手にハチミツ一滴、アマリの指先に水飴一滴が垂らされた。


ドゥエンデは見たことがない黄金色の液体を呆然と見ていた。

「それ甘くて美味しいから、こぼさないように食べて味を教えてね」

アマリがそう言うとドゥエンデは恐る恐る口を近づけ舐めてみた。その瞬間目を見開くと舐めては嬉しそうな顔を繰り返し、なにも無くなるまで手を舐めていた。その間中羽をブンブンさせていた。

「アマリ コノアジ イママデナイ コレモットホシイ」

ドゥエンデは焦った表情で拳を握り腕を上下に小刻みに振っていた。

「ドゥエンデ!それが甘いって味だよ!良かったね!...でも高いからそんな買えないんだ」アマリがそう言うとドゥエンデはツボの方を恨めしそうに見ていた。


それからアマリも指先の水飴を舐めると、優しい感じの甘さに昔食べた味を思い出しながら言った。

「うん!水飴そっくりで美味しいよ!...私ももっと食べたいなあ」

「2人とも喜んでるし買いじゃないの!...この世界もハチいるのかな?...まあ、どっちも買おうよプルも喜ぶよ」ボッケはハナミツのツボを興味深そうに見ていた。

「そうだな、ハナミツは少ねえ割に高えけどプルの為だし...まず固形のどっちも一つづつくれ!」ツッコは腕組みしながら渋い顔で言った。


「毎度あり!...まだあるんじゃぞ。次は果物を干した物で干果っていうじゃ!10個入りで銅貨30枚じゃ!」

ハックは笑顔で壺を取り出すと、そこには干して縮んだプルーンのような果物がたくさん入れてあった。

「これも美味しそうだね、プルーンみたいだしプルも欲しがるよ!」

ボッケは色々甘いものを見ていたら涎が出そうになり慌てて口を手で拭った。

「私もそう思う!これも買いだよ!」「コレナニ コレモアマイノ」

アマリも食い入るように見ている。そしてドゥエンデに服を引っ張られていた。


「...2種類もアメ買ったんだからよくねえか?」

ツッコは冷めた目で仲間を見ながらつぶやいた。

「ダメだよ!アメ食べない時はこれ出せばいいじゃん!」

「そうだよ、アメだけじゃ心配だよ!」

ボッケとアマリの怒涛の連携にツッコは押し負けた。

「...そ、そうか?じゃ、じゃあこれもください」


「どっちも美味しいぞお!...あとは元気といえば、この『元気果?』じゃあ!ハナミツの中に干果を入れて染み込ませたもんじゃ10個入りで銅貨140枚じゃ」

ハックは満面の笑みで箱から新しい陶器の小瓶を取り出した。それには「元気果?」と書いた紙が貼ってあった。

「...それならさっき買った干果にハナミツ飴突っ込めば同じだよね?」

ボッケは材料を見てすぐに見切ってしまった。

「...しかもちょっと高いし、プルにはベトベトであげづらいよ」

アマリも色々計算して微妙な顔だ。

「...そうだなこれは、いらないな」

ツッコもそう言って首を振った。

「...そうかい最初にこれ出せばよかったのお...失敗したのお。次は味付けのほうじゃな...」ハックは肩を落とし息を吐くとゆっくりと壺をしまった。


その後ハックの店で味付けの材料として、胡椒が3か月から半年分で銅貨300枚、乾燥したミックスハーブを2か月分150枚、山椒を一月分銅貨45枚、マスタードを一月分銅貨30枚、酢を1本で半月分ぐらいを銅貨15枚の合計銅貨820枚の出費となった。


そして次の日となり、カンフォラに報告するとものすごいガックリしていたが、とりあえずプルに甘いものを渡すと言ったらすぐに行ってくださいとなり、プルにまた会いに行った。


プルは昨日の位置から少しは動いていたが、まだ角の方で崩した体操座りのまま落ち込んでいた。そして昨日買った食べ物だが看守さんに面会時に食べさせていいか聞くとダメだった。しかし看守さんに渡せば食事の時に出してくれるようなので、それで頼んでおいた。

「プル元気出せよ!お前の好きそうなもん持ってきて看守さんに渡したから食べてくれよ!」

「そうだよプル、僕だって食べたいけど我慢してるんだよ!...って痛いよアマリぃ!じゃなくて食べてねえ!」

「プル甘くて美味しいから!絶対食べてね!元気でるよ!」

「アマイタベル ゲンキデル!」

全員で励ますとプルはやっと虚な目をこちらに向け少し震えた声でつぶやいた。

「みんな...ありがと...」

そしてまた顔を下げてしまい、声をかけたが昨日と同じように時間がきてしまった。


三人は無言のまま、外に出たが暑さよりも心が寒さを感じていた。その時だった仲間の顔を確認したボッケは笑顔で言った。

「プルがプルプルしてたね」

「...お、おめえには思いやりがねえのかあ!」

ツッコは驚きと少しの怒りが現れた表情だった。

「僕達まで同じように笑わなくなったらおしまいだよ!ツッコ!僕たちは笑わせる方だったよね!」

ツッコはボッケの笑ってはいるが真剣な目を見てフラッシュバックする。

「そうだよ、おにいちゃん達一応漫才師なんだから!」「イチオウ イチオウ」

アマリが2人を笑いだすと、苦笑いしたツッコは盛大なため息をついた後に叫んだ。

「馬鹿野郎!だいたい、さっきまでお前達も沈んでたろうがあ!」


その頃プルは看守がくれた冷たい質素な食べ物と共に干果を発見した。

いつも通り冷たい食べ物は味がしなかったが、干果を食べると甘さが口に広がり中にはハチミツの飴まで入っていた。プルはあいつら甘いもんなんて買ってなかったのにと思うと、何もできない自分に涙がまた流れていた。

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