壁
窓からゴブリンの様子を伺う。家から10メートルくらいの所で、ゴブリンが立ち止まる。
と言うか、そこで何かにぶつかったような感じだ。
何も無いところを叩いてる。
例えるなら透明な壁にぶつかり、壁を叩いてるような。
「バリア?」
俺は慌てて押入れを開ける。
そこにあるのは、俺のエアガンコレクション。
若い頃にサバゲにハマっていて、かなりの数がある。
その中から、長さ1メートルほどのライフルを手に取る。
エアーコッキング式スナイパーライフル。
これでどれだけ遊んだことか、楽しかったな〜いかんいかん、思い出にふけってる場合ではない。
弾を込める、と言ってもプラスチックのBB弾だけど。
しかし、10メートルなど余裕で届く。なにせカスタムして、40メートル先の空き缶に確実に当たるようにしてあるのだから。
スコープを覗き、ゴブリンの方に狙いをつける。
ゴブリンはまだ見えない壁を叩いてる。
コッキングして、ゴブリンの頭を狙う。
引き金を引く。
ポスッ!という音とともに、茶色のBB弾が跳ぶ。
カチンッ!
その音にゴブリンが驚き後ろに退がる。
「やはり何か壁がある。」
見えない壁に当たり、弾は跳ね返った。
もしゴブリンに当たって跳ね返ったとしたら、あんな音はしないだろうし、跳ね返り方も、真っ直ぐ戻りはしないだろう。壁があるのは間違いない。